！おさななまみれ！ (ページ9)

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名前ノ無イコノ感情二/sha ページ9

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隣の小さな女の子が、目の前にいる近所のお姉さんを、キラキラとした空色の瞳で見ていた。それは今からもう20年も前の風景だけれど、その姿を俺は、不思議と今でも鮮明に思い出せる。

俺とAと時間さえあれば遊んでくれていた、近所のお姉さん。結婚する、という彼女は駄々を捏ねた俺たちを結婚式に呼んでくれた。真っ白なドレスを身に纏って、幼い頃の俺たちに見せたことのないような幸せそうな笑みを浮かべて、楽しげに笑い声を上げて、嬉しそうに涙を流していたお姉さんを見て。俺の隣に居たAは、茶色の髪を揺らしてすごいすごい！と声を上げていた。

『シャオちゃんシャオちゃん！おねーさんすっごくすっごーくきれいやな！』
「せやなあ！けっこんしきはな、おねーさんがいっちばんきれいになれるひらしいで！」
『そうなん？ええなあ…！Aもけっこんしたい！』

それは幼い日の、ただの小さな口約束だったけれど。俺はそれを、忘れることが出来ずにいる。

「なら、おっきくなったらおれとけっこんしようや！」
『！ほんま！？』
「おん！やくそくやで、A！」
『うん！やくそく、シャオちゃん！』

なんて、そんな会話をしたのが今から20年も前のことだなんて、やはり驚きである。もっと驚けるのは、俺があの時の約束を不本意ながら未だに守ってしまっていることだけれども。

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