！おさななまみれ！ (ページ5)

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目の前に立つ女の子の顔が青ざめる

「ち、違うの！ユミちゃんは悪くないの！Aちゃんが私の悪口を言ってたから、それをユミちゃんが注意してくれて…」

「それ、ホンマに言うとるん？」

「そ、そうだよ！私の鬱くんに近づかないでって！私怖くて…」

生憎私には大先生を縛る権利なんてない。ましてや、思ってもないけど…

学年一可愛いと言われている女の子がうるうると今にも泣き出しそうな雰囲気を醸し出せばあっという間に加害者と被害者という立場は入れ替わった気がした

「……そう言って貰えたらよかったんやけどなあ」

『え？』

大先生が小声で何か呟いていた気がするが、ここからじゃ聞こえない

でも、女の子がはくはくと口を動かしている辺り、あの子には聞こえたらしい

「俺はな、Aに手を出す女なんて大嫌いやねん。例えそれが、付き合ってる彼女だったり、学年一可愛いと噂されてるあんただとしてもな」

「な、なんで…」

女の子の目線が大先生から私へ一瞬逸れる。その目線は正に、ありえないとでも言いたげな目付きをしていた

「あ？聞こえなかったん？俺は大嫌いな奴とは顔すら合わせたくないねん。さっさと失せろや」

「ﾋｯ……ユ、ユミ行こ…」

「う、うん…」

大先生に怖気付いたからか、女の子達はパタパタと慌てて去っていく

その場には私と大先生だけが残される

「なあ…」

大先生の口がゆっくり動く

ああ、流石に今回のことで今までやられてきたことがバレちゃったのかな

「Aは何時になったら俺のこと見てくれるん？」

静かになったその場には大先生の声がよく聞こえた