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｢女性には優しいところが好き｣
｢本当は繊細なところが好き｣
｢男友達と笑いあってる姿が好き｣
｢トークスキルが高く、どんな人も喜ばせられるのが好き｣
｢直ぐにサボるしやらないけど、本当はやれば出来るのが好き｣
｢何度女の子から制裁を受けても、めげずに馬鹿なことを繰り返すとこが好き｣
好きなところを上げていく度、自分の中の理性が甘いチョコレートのように簡単に溶けていく。
頭では駄目だと、嫌われるとわかっているのに、口元を手で抑えても言葉は止まらない。
｢屑で最低最悪で大嫌いだけど………好きなの、大好き。愛してしまったの｣
ずっと雨にぶつけていた想いを、今度は意を決して彼にぶつける。バッ、と勢いよく振り向くと、ようやく彼の青く濁った瞳と目が合う。
引かれたかも、怒られるかも、気持ち悪がられてるかな。
そんな不安と恐怖を胸の奥底にしまい、恐る恐る彼の表情と反応を伺う。
口をあんぐりと開け、ぽかーんと呆気に取られる間抜けな姿さえ、可笑しく馬鹿らしく、そして愛おしい。
いや、きっと間抜けは私だ。こんな屑に恋に堕ち、狂わされ、最後には儚く散っていく。なんて哀れで馬鹿で間抜けな道化だろう。
数秒の沈黙が訪れた後、腹の奥から絞り出したような、そんな大きな溜め息を吐かれる。
呆れられたのかも、と肩をびくりと震わせ、彼から紡がれる次の言葉を待つ。彼の淀んだ瞳が、途端に青く透き通っていく。
｢………本間に、俺の事好きなん？｣
｢う、うん。本当に好き。愛してる｣
｢いつから？｣
｢もう何年も前から｣
嘘だろ、と項垂れ蹲る彼にどう反応したらいいのか分からず、オロオロと行き場のない手を空で漂わせていると、彼は突然立ち上がり手を握ってきた。
驚きと困惑と羞恥で意味無く母音を漏らしていると、繋がれた手はいつの間にか恋人繋ぎに変わっていて、逃がさない、とでも言うかのように力を込められる。
｢…………っ俺、本間に嫌われとるかと思ってたんで…｣
｢そ、それは…ごめん……素直になれないし、嫉妬しちゃうしで………それに、大先生には嫌われてるから…それで……意地張っちゃって…｣
いたたまれなくて視線を泳がせていると、へ、と気の抜けた声が正面から聞こえ、反射的に正面に視線を戻す。
あ〜…と後悔と懺悔の混じった声で呻き声をあげる彼に、どうしたのか問う。
｢…すまん、それは俺が悪いわ。もうあんなことせんし、意地張らんで伝えるわ｣
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