◇ ページ11
フードで顔の半分も見えていないのに、表情なんて読み辛いのに、私には彼が酷く泣き出しそうに見えた。もしかして、教室の心無い言葉達に傷付いているのだろうか？
「……教室行かんかったらええんやろ？別に調子も乗ってへんし、めんどくさ」
「待てやゴラァ！！」
踵を返し立ち去ろうとする鳥井くんの肩を掴み、その男子は彼の顔を殴り飛ばした。途端に上がる悲鳴。しかし一度振るった拳は止められない。
倒れた鳥井くんを力の限り踏み付け蹴り飛ばす。しかし鳥井くんは一切抵抗していない、大怪我を回避する為に体を丸め腕でしっかりガードしている。
「おい！何してんねん！」
どうやら担任がやって来たらしく慌てて男子を羽交い締めにして止める。「後で話聞くから、鳥井は保健室に行って来い！」と叫ぶとそのまま引き摺る様にして男子を連れ去ってしまった。鳥井くんは静かに立ち上がりズボンの埃を払うと保健室とは逆の方向へと歩き出す。
『っごめんね彩葉ちゃん！』
「あっちょ、A！」
呆けた様に一連を見ていた彼女の手を振り払い駆け出す。廊下に出て待って！と鳥井くんの腕を掴んだ。
「い、ッ！」
『あっごめん！痛かった？あのっ……手当て、したいから保健室一緒に行こ？』
「…別に平気や。ほっといて、」
『ここやったらたぶん痛ないね！？』
「！あっちょっ、は！？」
この際人目なんて気にしていられるか。ドアからこっそり覗いてんちゃうぞ野次馬共、文句があるなら後で聞く。
趣味なのかお洒落なのか、フィンガーレスグローブを纏った彼の手をしっかり握るとくるりと方向転換し少し足早に保健室へと向かった。
「あんな不良にも優しいとか天使やん兎月さん…」
「いやほんまに！見た目も中身も良いとか最強じゃね？」
鳥井と共に保健室へと向かったAの背中を見ながらこそこそと熱を上げる男子達に思わずギリッと唇を噛む。
「なにしっかり株上げてんねんAの癖に」
あたしの言う事も聞けないなんて生意気が過ぎる。非常に不愉快だが、あんな犯罪者予備軍のモサ男やそこらのモブでしか好感度を上げられないのだと思い直すと可哀想と同時にとても気分が良くなったので許してあげる事にした。
こんなに優しくて完璧なあたしが、あの子より劣るわけがないのだ。
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える。(プロフ) - 桜の穂さん» こんにちは初めまして、える。と申します。勿体ないお言葉、本当にありがとうございます！ぼちぼちと更新頑張りますので、応援よろしくお願い致します。 (2022年12月17日 14時) (
レス) id: 4124cd0df0 (このIDを非表示/違反報告)
える。(プロフ) - とまとまとまとさん» こんにちは初めまして、える。と申します。嬉しいお言葉ありがとうございます！更新の励みになります、これからも応援よろしくお願い致します。 (2022年12月17日 14時) (レス) id: 4124cd0df0 (このIDを非表示/違反報告)
える。(プロフ) - けんまおし1016さん» こんにちは初めまして、える。と申します。嬉しいお言葉達に感無量にございます…！票も本当にありがとうございます、これからも見守ってくださいませ！ (2022年12月17日 14時) (レス) id: 4124cd0df0 (このIDを非表示/違反報告)
桜の穂 - お話がすばらしすぎる…！ずっと着いていきます(((続きが読みたくなりすぎました！！！ (2022年12月17日 14時) (レス) @page35 id: f612835adc (このIDを非表示/違反報告)
とまとまとまと - やばい……!!めっちゃ好き……！お話も面白くて最高でしたｯｯ!!これからもずっと読み続けます!更新頑張ってくださいｯｯ!! (2022年12月17日 12時) (レス) id: e6e42fc56c (このIDを非表示/違反報告)
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