最強ちゃみの千夜一夜絵巻【第３巻】 (ページ9)

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かけ違うボタン、変わる未来ページ9

『お食事中申し訳ございません。お嬢様、韓国から国際電話でございます。』

A「ﾕﾉね！」
『おばあ様、電話に出てもよろしいですか？』

『ﾌﾌ…ええ。早く出てあげなさい。』

A『ありがとう！おばあ様！』
「もしもしﾕﾉ？」

私がもうひとつの母国、ﾌｨﾝﾗﾝﾄﾞに来てから随分と時が流れた

時間とは不思議なものだ

ううん。時間だけじゃない

ﾁｬﾝﾐﾝの匂いがしないこの国は

時間の経過と共に私の心と体に染み着いたﾁｬﾝﾐﾝの匂いを

少しずつ

少しずつ消してくれた

そして新しく私の心と体には

仕事で近くに来た時には必ず会いに来てくれるﾕﾉが刻まれていった

A「ﾄｩﾙｸ？」

ﾕﾉ「またそこで撮影するんだ」

A「大丈夫？前の時と違って、あなたの知名度も上がってるのに。囲まれるわよ？」

ﾕﾉ「その時は俺のﾎﾞﾃﾞｨｶﾞｰﾄﾞになってくれ(笑)」

A「呆れた。私を楯にするなんて」

ﾕﾉ「お前と並べば誰も寄って来ないからな(笑)」

A「そうね。私たち公認の“幼なじみ”ですもの(笑)」

ﾕﾉ「ﾌｯ…まだいいだろ？幼なじみで…急ぐことはないさ」

A「ﾕﾉ…」

ﾕﾉ「終わったら少し休みが貰えるんだ。そっちに行くから待ってて？」

A「うん…待ってる…」

初めは「まだだめか？」とか「そろそろ戻ってこいよ」とかﾕﾉが問いかけることが多かった

会えば肌を重ね

そうすることでﾕﾉは言葉以外の安心感を求め

私はﾁｬﾝﾐﾝが消えていくことを確かめようとした

でもある日、一緒に寝てるのに私に触れようとしないﾕﾉ

A「…しないの？」

思わず聞いてしまった

ﾕﾉ「しないよ」

即答の彼に少し寂しさをおぼえながらも

それ以上追及せずに「うん…」と背を向けた