恵くん！お父さんをください！

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。



鳴らしたけれど反応がない。
もう一度鳴らしてみる。


『すみません。隣のものです〜！』


「ぉい、」


『ｯｼ。来る』



ガチャりとキャミ姿の女がでてきた。
髪が長くて、手には複数の切った傷。



「何？誰？」


『甚爾さんの嫁になるものです』


「・・・は？」




顔色が一瞬で変わった。
やっぱり面倒臭いタイプの女か。甚爾さんも変な人に引っかかったな...。



「あの、中に入れて貰えませんか？」


「君は何？」


「ぉゃ...甚爾の息子です。親父に急用があって直ぐに戻ってきて欲しくて来ました」


「そう...お茶入れるから中に入って？」




ゆっくりと中に入る。
甚爾さんが見当たらない。
匂い的には居るはずなんだが...周りの匂いがキツすぎて、気持ち悪い。


「おい、大丈夫か？」


『うん...。つわりかも』


「(よくもこの状況で、嘘つけるな...)」


「寝たの？」


『好き同士だし。良くないですか？』


「...な」




やっとキレ始めたな。




「巫山戯んな！！甚爾さんは、私のものなんだよ！！！」


「毒神！？」



手を引っ張られ恵くんに助けられる。



「無茶すんじゃね！」


『はっは。大丈夫だって...それより恵くんは大丈夫？私はちょっと匂いがきつくて』


「俺はお前のおかげで大丈夫だ。毒効かねぇんじゃなかったのかよ」


『そのはず、なんだ、けど...』


「ふふ、やっぱり。貴方が毒神Aね。対策を練っておいて良かったわ。この強い匂いで分からなかっただろうから教えてあげる。貴方用に開発してもらったのよ。どう？キツイでしょ？甚爾さんは、あげない」




くそ...あの研究所か...。
私を潰すために何でもするってか？
あーヤダヤダ。



「毒神！！くそっ！一般人には使えねぇ...」


『と、じさん...』


ｶﾞｺﾝｯ。


「よ、んだか？」


「親父！」

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