猿を愛してしまった【夏油傑】

猿が10匹 ページ10

。夏油



『佐藤さん...こんにちは』


「何でそんなにも、後ろに隠れてんのよ〜！」




多分会社の人だろう。
見た目的に歳下だと見える。



「Aちゃん。知り合いかい？」


『職場の後輩です』


「初めまして〜！こういうのって、先に五条さんがお金払ってるんですかぁ？」




なんとも、ねちっこい気持ち悪い猿だ。
反吐が出る。



「いいや。そもそもレンタル彼氏じゃないからね」


「・・・へ〜。だったら、彼氏ですかぁ？」




彼氏でもない。この関係をなんと表せばいいのか。
ただの私の片思いに過ぎないこの現状。

彼氏と言いたい。



「ただのお友達だよ。この前助けてもらったお礼をさせていただ...」


「そうなんですね！！」



と、Aちゃんを軽く突き飛ばした、私の横にベッタリと引っ付いた。


キツい香水。露出の多い服。何もかも私の好みではない。



『私、ちょっと御手洗に行ってきます、ね』


「待って。嘘は行けないよ。君、佐藤さんだっけ？離れてくれるかな」


「え〜いいじゃないですかぁ。私も混ぜてくださいよ〜」




これだから融通の利かない猿は嫌いなんだ。




『ぁ、あの！離れて貰えませんか。傑さんは、私とデート中なんです！！！』


「...ふふ。そうだね。私達はデート中なんだ。邪魔しないで貰えるかな」


「さっき友達って...」


「建前に決まってるだろ？察しが悪いなぁ。さぁ、行こっか」





しっかりとAちゃんの手を繋ぎ、歩き出した。

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