猿を愛してしまった【夏油傑】

猿が45匹 ページ45

。

あれから沈黙が続く。
寝たいけれど、ソファーは今使えないし...。
恵くんに気を使わせる訳にも行かない。やはり帰った方がいいよでは無いか。


瞼が閉じかかってきてるのに気づいたのか



「寝ますか？」


『そうしようか、な。ソファー借りても良いかな？』


「ベットでいいですよ。俺がソファーで寝ます」


『そういう訳には...』




頑なに譲らない恵くん。
一方兄さんの方を見ると、ただ私の方を見つめるだけだった。




「あんた、腹に子供いるのに硬い場所で寝させられませんよ」



子供という言葉に反応した兄さん。




「お前...子供いるの、か？」


『だったら何ですか』


「・・・そうか。」




一瞬だけ笑ったのが見えた。
あぁ、私がどれだけ突き放しても兄さんは私の幸せを第1に考えてくれてる。

知ってるんだ。本当は。


兄さんは私のために心配してくれてること。でも、私は全てをもって生まれた兄さんが羨ましくて向き合えない。



「はい。空気重いのでどちらももう寝てください。五条さん、床でお願いします」


「恵、掛け布団は？」


「ありますよ」


「じゃぁ、許す」

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