猿を愛してしまった【夏油傑】

猿が16匹 ページ16

。傑


ホテルを後にして、Aちゃんの自宅へと帰る。



「なにか届いてるよ？」


『また...』



Aちゃんがその荷物を持ち家に入り開けると、高級なお肉と数百万のお金。
この子は一体何者なのだ？


「誰からなんだい？」


『実家の兄からですよ...。私が家を追い出されたから、仕送りしてくれてるんです。まぁ、食べ物は粗末にできないので、ご近所さんに配って、お金は手をつけてないですね』


「お兄さん、優しいんだね」




そう言うと、少し怒りを込めた言われた。



『違いますよ。ただただ可哀想な奴だと思われてるだけですよ。兄は何でも持って生まれてきましたから。その分私は、何も何も持って生まれなかった...』



Aちゃんは最後に



『私は五条家にとって、膿でしかないんですよ。恥さらしの』



そこで私は、理解した。
兄も何かが見える。お金を持って全てを持って生まれた天才。きっと私の知っている"五条家"であると。



「このアパートから出ていこうか」


『・・・それもいいかもですね』


「だから、私と一緒に住んでくれる話、受けてくれるかい？」


『傑さんが、受け入れてくれるならついて行きます。傑さんには、御恩しかないので』


「ありがとう。好きだよ」

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