猿を愛してしまった【夏油傑】

猿が11匹 ページ11

。夏油



多分Aちゃんは、私のためにデートだと嘘をついてくれたのだろう。
握っているでは小刻みに震えている。



「ありがとうAちゃん」


『すみません。ご迷惑をおかけして...』


「気にしないで。私は大丈夫だから。デートって言って貰えてとっても嬉しかった。いなくなったと思うし戻ろうか」



誰にもこの時間を邪魔させたくない。
あの猿、覚えておけよ。




その後ショッピングを終えて、Aちゃんのアパートへ戻る。
少しの間だけ何も喋らない時間。




「今日はありがとう。私のわがままに付き合わせて」


『そ、そんな事ないでよ。楽しかったです』



また沈黙の時間が続く。



もう、会う理由がなくなってしまった。
猿を愛してしまったことによって、私は強くものにしたいと思う。


誰にも取られたくない。
誰にも触れさせたくない。
誰にも邪魔されたくない。




「Aちゃん。良かったら私の家に来ないかい？」


『え？』


「私は、Aちゃんが好きだ。私に着いてきてくれないか？」



Aちゃんは、考えた。
数分がたち、ようやく口を開いたAちゃん。



『私は、知らないうちに傑さんを好きになってると思います。でも、ごめんなさい。もう少し考えさせてください』


「うん。わかったよ...待ってるから」





その日は終わりを告げた。

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