夢なら覚めないで/uszw ページ5
(学パロ)
「きりーつ、れーい、お願いしまーす」
予鈴が鳴り、授業が始まった。正直勉強は苦手だ。特に数学が中学時代から壊滅的で、受験の際には手を焼いた。
今日はついていないことに、1時限目からその壊滅的な数学だった。はあ、と心の中でため息を落としてノートを開き、板書を写そうとする。
が、
「それじゃあまずこれは前回の復習ねー、この問題を…Aさん、解いてみて」
……絶体絶命。朝から窮地に立たされている。黒板には謎のグラフと式が書かれていて、私にはグラフがただのぐにゃぐにゃの線にしか見えない。え、こんなん分かるわけないじゃん。
いつもの私なら平然と「わかりません」の一言で終わらせるのだが、今回はそれで終われない。なぜなら、隣の席が片思いの相手、牛沢くんだからだ。牛沢くんは新学期からの私の憧れ兼好きな人で、今学期運良く隣の席になれたのだ。好きな人にはいい所を見せたい。当たり前でしょ！？
「…えーと」
教室がシン、と静まり返る。プレッシャーがすごい。泣きそう。
「…y=f(x)！」
必死に絞り出した答えはこれ。なんか前回先生が何回もしつこいくらいに繰り返していた気がする！
「…公式は合ってるんだけど今聞いてるのは座標なんだよね〜」
どっ、と教室が笑い出す。ドヤ顔で言ってしまったから？見当違いの回答だったから？わからないが、とにかくクラスの反応はどうでもいい。私が気になるのは隣の席の彼、牛沢くんの反応だ。
ちら、と横目で牛沢くんを見ると、なにやら板書を写していて心底どうでもよさそうな表情をしていた。私のことなんてどうでもいい、興味ありません、って顔しててちょっと傷つく。
…はあ、なんかもう、朝から疲れた。今になって昨日の夜更かしが頭に響いてきた。頭痛から逃れるため、私は机に伏せて目を閉じた。
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作者名：梦 | 作成日時：2022年8月13日 0時
