【3年A組】大切で、大好きでした (ページ9)

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8話ページ9

「おー走ってる走ってる」

一颯先生が窓の外を見ながら弾んだ声で発した。

先生の目を盗めるその瞬間みんな一斉にスマホを操作しだした。

それぞれ親などに助けを求める連絡をしようと思った。

私もお母さんにメールを送ろうとしていた。

「はい！携帯ストーーップ！」

先生の大きな声が教室に響く。

「これからみんなの携帯電話と鞄を回収していくから」

そう言い机から白い袋を取り出した。

スマホを二台持っている人、反抗する人みんなから携帯と鞄を回収する。

さらに逢沢くんのビデオカメラまで回収した。

最後のさくらが鞄と携帯を入れながら

「なんでこんな事…

一体何が目的なんですか？」

と言った。

「気になるよなぁ」

先生は重たい袋を教壇まで運びさらに言葉を発した。

「君達が人質になったのには理由がある」

その時タイミングよくチャイムがなった。

「はい、起立」

立つ生徒はいない。
この状況で立とうと思う人がいるわけがない。

「起立だよ！きーりーつ！」

再び先生が腕を見せながら言う。

爆弾のスイッチがついた腕を見せながら。

すると次々と立ち上がる生徒達。

「これから俺の授業を始める礼」

全員が立った頃に先生が言う。

今度はまばらなお辞儀。

でも先生はもう一度同じセリフを言った。

また腕を主張しながら。

それをされたらみんな礼をするしかない。

「着席」

個々に不安を持ちながら先生の授業が始まった。