【3年A組】大切で、大好きでした (ページ14)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:42,968 hit

13話ページ14

「Aは景山と仲が良かったから俺よりも知ってることが多いんじゃないか？」

ただの疑問のような挑発しているような

そんな言い方だった。

この言葉は私を傷つけ、考えさせる言葉だった。

だって...

『先生は知ってるでしょ？

私は澪奈から何も教えてもらえなかったって

澪奈の助けに何もなれなかったって先生に話したじゃん！』

そう、私は先生に澪奈のことを話していたんだ。

澪奈が亡くなってから悲しくて、澪奈の力になれてなかったことが辛くて、毎日、毎日、息をしているのに苦しかった。

［胸が締め付けられる］この言葉をこれほど実感したのは初めてだった。

そんな時私の支えになってくれたのは一颯先生だった。

私の話を全て聞いてくれて、一緒に涙を流してくれて、誰もが欲しい言葉をくれるのではなく、先生の考えた優しい言葉をくれた。

大好きな人が亡くなった悲しみを大好きな人が薄くしてくれた。

でもその時先生は澪奈について何も教えてくれなかったよね？

『あの時すでに澪奈について知ってることがあったなら教えて欲しかった』

声がだんだん鼻声になってきた。

なんだか裏切られたようで悲しかったから。

「景山について知りたいか」

淡々と落ち着いて先生の声が聞こえる。

『知りたいです』

先生の目を見て言う。

「じゃあこの10日間で一緒に知っていこう、考えていこう

俺はそのためにこの半年間を過ごしてきたんだ」

一颯先生の目は真剣な目だった。