そばにいさせて～changmin～ (ページ9)

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貴重な時間～changmin～ページ9

メイクの順番を待っている間、ゆっくりとコーヒーを飲むことにした。

マネージャーは急な用事で事務所に呼び戻されて、しばらくは帰ってこれないだろう。

マネージャーやユノと一緒にいるのはもちろん楽しいし安心するが、時には1人で、静かに、物思いにふけりたい時もある。

1人でゆっくりできる時間なんて、プライベートでもあまりない。

だからこそ、このわずかな時間はとても貴重だ。

それにさっき控え室に行く途中、この場所がすごく気持ち良さそうだと思ったのだ。

紙カップのコーヒーを買って窓際に座ると、やっぱり暖かな陽射しが気持ちいい。

『あったかい。』

ゆっくりと流れていく雲を見ながら、思わずそう呟いた。

ここ最近、日本でも韓国でも仕事が山積みで本当に忙しかった。

近いとはいえ、行ったり来たりするだけでもやはり疲れるものだ。

だがこの2週間は、あまり疲れを感じなかった。

ユノにも、忙しいのになんかチャンミンはごきげんだね！と言われたほどだ。

まさか、Aさんに会えるのがたのしみだからですとは言えるはずもなく、いつもぼくはごきげんです！と言い返した。

ユノはそんなぼくを見て、楽しそうに笑っていた。

あの人は鈍そうに見えて、実は意外と敏感だ。

Aさんへの興味が筒抜けになっているんじゃないかと、たまにハラハラしてしまう。

そんな風に日々を過ごしながら、待って待って、ついに今日は撮影の日だ。

本当にもうすぐ会える。

1人の時間がほしいと思いながら、早くAさんには会いたいなんて、矛盾しているだろうか。

自分に苦笑いしながらも、ドキドキと穏やさが混じったこんな気持ちになるなんて、なんだか不思議な感覚だなと考えていた。

その時ふと、視線を感じて振り返った。

『『あっ…』』

そこには、ずっと想っていたAさんがいた。

何を話そうか迷いながらも、名前を呼んでくれるだろうかという期待に鼓動が速くなる。

その期待が裏切られた時は落ち込んだが、絶対に呼んでもらいたいと逆に火がついた。

Aさんを少しでも一人占めしたい。

ぼくの好きなあの声を聞きたい。

名前を呼びたい。

名前を呼んでほしい。

そう思ったら、一緒にコーヒーを飲みましょうと誘っていた。

1人より、やっぱりAさんといたい。

『はい、ぜひ！』

そう言ってくれた笑顔はやっぱり素敵で、自分にだけ向けられたものだと思うと、なんだかくすぐったかった。