そばにいさせて～changmin～ (ページ19)

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決意～西野～ページ19

スタジオでは、準備が着々と進められている。

騒がしい中でも時折、

Aさんはさ…

という話し声がまだ聞こえてくる。

Aがユイに連れ去られた後のスタジオは、

えっ、Aさん出るの！？
メイクしに行ったってよ！
まじ？すげー楽しみ！

と、男たちの期待と盛り上がりですごかった。

『はいはーい！じゃあ、Aが帰ってくるまでに、完璧に準備終わらせとくぞー。』

了解です！よし、やろうぜ！

西野はそんなスタッフたちの扱いにも慣れている。

Aが男たちの話題の中心になるなんて、日常茶飯事なのだ。

『Aさん、メイクしてますか？』

同じように気にしてくるチャンミンには、普通の男と変わらないんだなと笑ってしまった。

『どーせなら相手役は綺麗なほうがいいだろ？チャンミン、最高の作品にしような！』

『はい、もちろんです！』

チャンミンは監督のもとへ行き、三橋と3人で動きを詰める。

西野はスタジオ全体を見ながら、進み具合を把握していく。

西野はどうしても、今回の企画を成功させたかった。

この企画を一緒に成功させたら、Aに自分の気持ちを伝えよう。

そう決めていたのだ。

Aが自分のことを信頼し、必要とし、好きでいてくれることは分かっている。

ただそれが、同僚として、仲間として、友人としてだということも痛いほど分かっている。

そこを飛び越えるには、まず自分を男として見てもらわなければいけない。

チャンミンの案を聞いて、きっとAも今までで一番と言えるくらいの作品ができると思った。

そのために、相手役は絶対にAでなければとも思った。

秘密にしている段取りも、きっとAなら大丈夫だ。

そうして企画がうまくいけば、自分の告白もうまくいくんじゃないか…

そんな気がしていた。

よしっ！と気合を入れ、西野は最終確認に走りはじめた。

この時はまだ、Aの恋をまた近くで見ることになるなんて、西野はまったく考えていなかった。