そばにいさせて～changmin～ (ページ24)

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ぼんやりとページ24

『カァーーット！！！オッケー！！』

その監督の大きな声に、2人はビクッとする。

ドラマのワンシーンみたいだった！
俺もAさんを抱き締めてーなー！

いろんな声が聞こえてきて、あーこれは撮影だったと思い出す。

Aは、撮影が始まっていたことにも気付いていなかったし、もはや自分が何をして、何を話していたのかもぼんやりだ。

それくらい、チャンミンしか見えていなかった。

チャンミンは、自分が引っ張らなきゃ、撮られる角度はこうで…と考えていたにも関わらず、思い返せばそんなことは頭から飛んでいた。

チャンミンもまた、目の前のAしか見えていなかった。

近い距離と、自分がチャンミンの手に触れていることに気付き、Aがハッとする。

『あ！ご、ごめんなさい！』

離れた温もりに、チャンミンは寂しさを感じる。

『いえ…』

『Aー！チェックするぞー！』

西野に呼ばれ、頭を仕事に切り替える。

『チャンミン、行こう。』

パソコンに近付くと、ユノの姿も見える。

『Aヌナ！女優さんになれるね！』

『やめてください！何を話したかもよく覚えてないのに…』

『でも、すごくいいの撮れたぞ！』

西野が興奮しながら、見てみろよと促す。

そこには、顔に手を添えたチャンミンの手をAがとり、チャンミンがAを見ている写真が写っていた。

その笑顔からは、愛情や優しさと言った言葉だけでは表現できない、Aへの溢れる感情が伝わってくるようだ。

『何でもしてあげたいって顔してる。好きな男にそんな顔されたら、女性は間違いなく癒されるよな！』

ぼくもAヌナと撮りたかったなー
お？撮り直すか？
え、いいの！？じゃあまた着がえて…
ダメに決まってるだろ。
えーーー
あのユノの写真は本当に最高だぞ？

ユノと西野、そして三橋がそんなやり取りをして笑い合っている。

Aは、写真をさかのぼる。

チャンミンを撫でているところ。

抱きつかれているところ。

近付くところ。

手に口付けられているところ。

手をとるところ。

名前を呼んでいるところ。

そこに写るチャンミンの表情が、2人だけの時間を思い出させる。

あれ…私、チャンミンに…何か…

『Aさん、着替えといてよかったですね♪』

いたずらに笑うユイの一言が、現実に引き戻す。

『…あー！ちょっと！全然手だけじゃないじゃない！』

今さらのその声に、後ろの西野たちから大きな笑い声が聞こえた。