九歩目。 ページ10
―Aside―
『あとは心操くんの知ってる通りかなぁ。理解できた？』
「想定外すぎて頭痛してきたよ...」
そう言いながらししゃも抱きしめるの可愛いね。うちの子の癒しパワーすごいよね、分かる。
入学を受け入れたのだって心操くんが居るならって理由が大きい。
私はヒーローを目指してない。尊敬はしてるけどね、一部の人を除いて。
ヒーローって責任重大の仕事だから。すごく大変そう。
公安的にはヒーロー科に入って確実にヒーローになって欲しいんだろうけどね。
会ったこともなければ話をしたことすらない人間の言う事なんて知ったこっちゃないんで。
『心操くんが普通科にいくから私も普通科にいく。どの科でも同じ。心操くんのいるところにいったよ』
「俺の責任重...」
『？ 私がしたくてしてるんだよ。これが私の要望だから。でも学校、というか公安は絶対に私をヒーローにしたいらしいね。ヒーロー科の専攻科目と行事に参加する事を条件にしてきた』
「マジか。縛り多すぎだろ...なぁ、A」
『ん？』
「怪我、気を付けなよ。無理もしないように。限界迎える前に俺に話せ。登下校も今まで通り一緒だからな」
『心操くん、優しいね。やっぱりヒーローに向いてるよ』
「ん、諦めるつもりはねぇよ。すぐに追い付く」
この口端をちょっと上げる笑い方好きなんだよなぁ。挑発的でかっこいい。普段無表情すぎるからそのギャップかな。
まぁ、ししゃも(猫)の前じゃゆるっゆるですけどね！！いつもは表情筋どこ行った問題が右往左往してるのに。すっこーん飛んでくからね。
優しいし"個性"も強いし、二年からはヒーロー科に編入するだろうなぁ。
ん？そしたら一緒にいれる時間多くなるな？？ヒーロー科も苦じゃなくなるね！楽しみにしとこ！！
「何ニヤけてんの？」
『心操くんのおかげで高校が楽しみになった。頑張って追い付いてね、待ってるからさ』
「当たり前だろ、追い抜いてやるから油断しない様にな」
『とーぜん！そしたら心操くんと意地でも同じクラスにしてもらお。特権フル活用してやる』
「食堂タダとかできそうだな。その特権」
『心操くん天才？？名門校の食堂のデザートとか美味しいに決まってるじゃんね？？』
「ちゃんとした昼飯を食べて欲しくて言ったんだけど？」
『あは！』
「笑って誤魔化すな」
今日から約一ヶ月後、雄英高等学校での平凡な学生生活が始まる(願望)。
何事もなく平和に過ごせますように(切実に)。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年1月21日 1時
