三十四歩目。 ページ35
―Aside―
『え、心操くんＡ組に喧嘩売りに行ったの！？何それ見たかった！！』
「宣戦布告な。髪とがってる奴が生意気そうだった」
『とがってる子けっこういるけどな。生意気なら爆破くんかな』
「爆破...それ名前？」
『ううん、あだ名。女子は覚えたけど男子の名前は覚えてないんだよね。個性は覚えてるんだけど』
「相変わらずだな。欲しいのあったか？」
『なかった。みんな強い個性ばっかりなんだけどね』
物心がついた時から他人の"個性"が欲しかった。
好奇心旺盛な時期だったし、周りの子たちよりも"個性"の発現が遅かったのもあるんだと思う。
"個性"が発現した今でも欲しいとは思うけど、実際にもらえるわけじゃないしな。数年前からその欲もおさまってきたし...。
私のワガママに「いいよ、あげる」って言ってくれたの誰だっけ。すごいうれしかったんだよなぁ。
「体育祭、Aにも負けるつもりないからな」
『あれ、言ってないっけ。私参加しないよ』
「...は？聞いてないんだけど。なんで？年に一度のビッグイベントだぞ？」
『
「あー...そういう話になるのか。まぁ、Aがいいなら俺は何も言わないよ」
『私は心操くん見てるから全然平気だよ。あ、でも参加した方が近くでみれるね！？やっぱ参加しようかな...』
「理由が不純」
『純粋でしょ』
心操くん大好きで何が悪い。悪くないよね、知ってる。
"個性"の詳細を公にしたくないのもホントだけど、公安から止められたら私は何も出来ないからね。
ヒーローにさせたいならプロヒーローの指名を貰える体育祭は出るべきだけど、公安は誰かの事務所に就かせたい訳じゃないんだと思う。
公安所属にさせたいのが一番かな。
【遮断】の何がそんなに良いんだか。こんなのが危険とか過大評価してる。
【抹消】とか【遮断】の上位互換だと思うんだけどな。私は触れてる人しか守れないから。
『参加はできないけど、応援してる。体育祭はみんなに見てもらえる良い機会だから、心操くん自身のために頑張ってね』
「俺はAのためにも頑張るよ。だから、余所見しないでちゃんと見てて」
『？ ...なんか今心臓きゅってなった』
「え、後遺症とかなかったよな？痛いか？」
『痛くないよ、大丈夫。たまによくあるから』
「どっちだよ...。無理は禁物だからな」
『うん』
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年1月21日 1時
