一歩目。 ページ2
―Aside―
『わーお、でっか〜。ショッピングモールくらいあるね』
「緊張感なさすぎ。嫌味か推薦入学者」
『まさか。私天才だからね、筆記は余裕で合格だと思うよ。実技は知らんけど』
「見た目と頭脳が嚙み合ってないんだよ、腹立つ」
『あは、すまんな』
今日はかの有名な雄英高等学校の入試試験日。
中学からのお友達である心操くんと一緒に来た。いつも以上に目の下のクマが酷くて心配だよ。入試終わったらししゃもと遊ばせてあげよ。
いつもに比べて言葉の棘が少ないのは緊張してる証拠だね。いつもはもっと口悪いから。他の子と話してる時は優しげなのにな、私に対してちょっと辛辣なんだよなぁ。
心操くんと話しながら説明会場に到着。既に３分の２くらいは着席してた。席を確認すれば同じ中学出身の生徒で固めてあるらしい。つまり、心操くんの隣ですね！安心！
しばらくすると金髪が重力逆らっててグラサンにマイクを持った特徴的な人が壇上した。とてもテンションが高い人だ。そして受験生のノリが悪い。多分緊張と羞恥。
まぁ、私も返事してないんですけどね！こんな大勢の中で一人声を出すのは恥ずかしいので。
そして、実技試験の内容が発表された訳だけども...
『ロボ退治だってさ。不平等だねぇ』
「...結局、ここでも"個性"次第かよ。俺みたいな奴は希望も持てないってか」
『あは、久々のネガティヴ〜』
「うるせぇ」
『この入試に受かるのは戦闘向きの個性の人だけだろうね。ヒーローに身体能力はある程度必要だろうけど、プロヒーローを輩出し続けてる雄英がこんなに偏るとは思えないなぁ』
「つまり？」
『ロボ退治以外でポイントを貰える採点方法があるはず。なんにしろ出来ることをしないとだね。応援してるからね、頑張れ心操くん！』
「...ん、Aもな。怪我には気を付けなよ」
『うん！じゃ、また後でね』
友達同士で協力させないようにか、試験会場が離されてる。お互いに手を振ってそれぞれの会場に向かった。
くそう、心操くんの頑張ってる姿が見れないなんて...！！
心操くんが優しいのもヒーローに憧れてるのも知ってるのになぁ。
個性【洗脳】...良い個性なのに心操くん本人が嫌ってるから、用途なんていくらでもあるのに上手く使えないんだ。洗脳に対するイメージを変えられないんだろうな。
怪我しないと良いけど。心配だ。
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年1月21日 1時
