実のところをいいますと 5 (ページ4)

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jm side

周りから見ても不自然なくらい空いてしまった距離を縮めるには

頭を最大限に狂わせるか、こんなちょうどいい日を利用するかの二つに一つだと思った。

俺なんて元から考えるのは得意じゃないんだから、
今日という日を利用して、いつも通り心の赴くままに動いちゃえって。

「Aヌナ。
お疲れ様です。あの、ちょっとだけ時間ありますか？」

あの一件依頼、顔を合わせることはあっても
こうやってしっかり話せる時間なんてやっぱり取れなかった。

どんだけ頭おかしくしたって、無理だよこれは。

この人のことになると、俺はない頭を使わずには動けないみたいだ。

『おっ、ジェミナ〜、お疲れ様。
うん、勿論だよ。

あ、良かったらちょっとお散歩がてらコンビニでもどお？』

「えっ、あ。死んだわ」

『えっ？なに、し、、？え？』

「えっ？あ、いや。
はい。お供させてください。」

『いやっ、嘘でしょ？ふはっ！笑笑
そんなナチュラルに無かったことにするの？笑

あー、面白いねキミって。』

ちょっと俺って多分普通じゃないんだろうね。
こんな急展開の方が、本領発揮できるっていうか
謎に落ち着いて行動できるって言うか

とにかくなんだ、うん。
ここ数年で1番幸せな瞬間がどうやら急遽訪れてしまうみたい。

『ゆっくりご飯とか行ける時間作れなくて、ごめんね？
お互い落ち着いたらまたゆっくりお話しできるといいな。』

ねえヌナ、ヌナは当然気付かないだろうけど

こんなコンビニまでの行き慣れた道でさえも全く新しく感じられちゃうくらい
今この時間が僕にとっては奇跡みたいなもんなんだよ。

『わっ、雪降ってきたね〜
んふ、積もるかなぁ？綺麗だなぁ

私雪って大好きなんだ』

『なんてことないいつも通りの街並みでさえ、雪ってなんか特別に変えちゃうでしょ？

一瞬で消えちゃう儚い輝きって、すごく素敵よね。』

「ヌナ。
じゃあヌナは、僕にとって雪です。」

「ヌナがいるだけで、その他のものや場所全てが霞んで見えちゃうくらい

あなたは僕にとって、儚くてキラキラしてて素敵で

涙が出てくるくらい綺麗な、そんな存在です。」

ヌナと一緒に歩いたこの道を見ながらついさっき感じた感情

ヌナが全く同じように感じているなら、伝えるのは簡単だと思った。

「僕はそれを受け止める地面になります。

だからヌナ、消えないでね。」