相澤side ページ41
Aを寮まで送り自分の部屋に戻ってきて椅子に腰かける
あいつにあんな過去があったなんてな
聞いた話は衝撃的なことばかりで
普段のAからは想像もできないことだった
なんてことないように話すAの顔を見ていたら
"それ"があいつにとって当たり前のことになっていたんだと実感した
担任としてずっと見てきたつもりだったのに一切気が付かなかったということに悔しさも感じた
相「俺に隠し事はしたくない……か」
その言葉にどれだけ嬉しくなったかあいつは分からんだろうな
俺の中でAに対して一生徒以上の気持ちが芽生えていることは
らしくもなく自覚していた
あいつが雄英でかなり人気なこと
仮免試験の時のHCU
通形との距離が近かったこと
俺より先に心操に秘密が知られていたこと
どれも面白くないと感じた
生徒に対して恋愛感情を持つなんて合理的じゃない
分かってはいるがどうも放っておけないのだ
人一倍責任感が強いからこそ
誰よりも冷静なのに…冷静に判断できるのに
自分を責める傾向がある
たしかにあいつの見目は良い
他人に羨ましがられる容姿ではあると思うが
俺のタイプな訳でもない
だけど目が追ってしまう、放っておけないと心配してしまう
職員室であいつの頭を撫でた時の顔が忘れられない
もっと見たいと思った
俺の事だけ見てればいい……なんて思い
ちょいちょいずるいことをしたり言ったりしてる自覚もある
ダメだな
せめてあいつが卒業するまで……
俺はちゃんと教師でいなければいけない
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作者名：きい | 作成日時：2022年12月8日 17時
