防衛部のお姫様 (ページ2)

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正化三十一年

関東図書基地

軽快な足音が基地内のグラウンドに響く

堂「腕下げんなっ笠原！！！」

笠「はいっ！！！」

私よりはるか前を走る同期の笠原郁が怒鳴られるのを聞きながら

その背中を追うように私も必死に走った

堂「A！！お前もだ！！」

あ「ﾊｧﾊｧｯ…は…いっ！！」

流れるように私の名前も叫ばれ絞り出すような声で返事をした

この時点で圧倒的な郁ちゃんとの体力の差を思い知らされる

もっと体力をつけなければ……

そんな思いでゴールの線を超えた時…

そのすぐ横ではなぜか先にゴールしていたはずの郁ちゃんが

腕立てをやらされていた

あ「ﾊｧﾊｧ…郁ちゃん…？」

男「こいつゴールした途端そこにぶっ倒れたんだよっﾊｧﾊｧ…」

あ「そ、そうなんだ…ﾊｧﾊｧ…」

ブツブツ文句を言いながら腕立てをこなす郁ちゃんに視線を戻す

それでも…

あんな走ってきついはずなのに腕立ての形は崩れることなく

しっかり顎までつけてやれていて

同じ女性隊員として差ができていくような焦りを感じた

そしてその訓練後、お昼ご飯を食べるため

郁ちゃんと2人食堂へ向かうと同じく同期で業務部の柴崎麻子こと

麻子ちゃんと合流し3人で列に並んだ

柴「どーだったの？さっきの訓練」

あ「あ、麻子ちゃん…その話は……」

麻子ちゃんのフリで思い出したのか途端に郁ちゃんが

怒ったように大きい声で文句を言い始めた

笠「絶対あたしのこと目の敵にしてるってあのクソ教官っ！！」

柴「クソ教官って…堂上教官のこと？」

笠「他の女子がへばっても同じ仕打ちしたことないのよ！？」

柴「今日は何をやらかしたのよあんた」

麻子ちゃんが説明を求めるように私に視線を移す

あ「あー…郁ちゃんゴールした後に地面に寝転がっちゃって
まぁ私もそうしたくなる気持ちは分かるけど…」

柴「なるほどね笑
それで怒った堂上教官から罰を受けたと」

笠「あたしがへばったのゴールの後じゃん！！
何の文句があるって言うのよ！！！」

あ「い、郁ちゃん声でかいって…」

柴「あたし結構好きだけどなぁ
ちょっとかっこよくない？？ね、A！」

あ「私も尊敬してるよ？
かっこ…いい？とかはよく分かんないけど…」

笠「はぁ！？どこが！？あんなチビ！！！」