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緊張 ページ46

列が中盤に来たころ、洋一郎さんが急にそわそわしてスマホをいじり始めた。


どうしたのかしら。


貴方「あの、洋一郎さん」


洋一郎「はい」


貴方「何調べてるんですか?」


洋一郎「特に大したことないですよ」


貴方「へえ、大したことないんですか」


そう言って私は彼のスマホを覗き込んだ。


「ジェットコースターが怖くなくなる方法」と検索していた。


これは何て反応すればいいんだ。気まずい。


いや、ここは長年台本なし、生放送でラジオをやってきた実力を発揮しなければ。


貴方「こういう変わった感じのアトラクションってもしかして苦手ですか?」


洋一郎「はい。さっきみたいにスタンダードなやつが好きなんで」


貴方「もしかして富士急で『ええじゃないか』乗るときも、同じこと調べてました?」


「はい」と彼は恥ずかしそうに笑いながら言った。


彼が笑ったところを真っ正面で始めて見たぞ。


洋一郎「変な体制で乗るのとか、回されるのが苦手で」


貴方「へえ。何か良い方法見つかりましたか?」


洋一郎「『目を瞑らない』『落ちる前に先に叫んでおく』って書いてました」


貴方「目を瞑らないは当たり前ですよね、瞑ったら余計怖いのに。


落ちる前に叫ぶってそれやったら完全に変人ですよね」


洋一郎「僕も凄い抵抗感あります。あと、真ん中の席が一番怖くないって。


冬場の朝がスピードが遅くて、夏場の夕方がスピードが速いって書いてました」


貴方「確か一番後ろの席が一番怖いんですよね。


一番マックスのスピードと重力が体感できるって」


洋一郎「乗らない方が良いですね、夏場の夕方に一番後ろの席に乗るのは」


もうそろそろ我々が乗る順番が近づいてきた。


皆、大体靴を脱いで乗っている。


しかし、洋一郎さんは靴ヒモをしっかりと入念に結び直した。


貴方「靴脱がないんですか?」


洋一郎「靴脱いで乗ったら、靴下飛んでいきそうで怖いです」


彼の発言に、少しクスクスと笑った。


面白いところもあるんだな。


貴方「心配しすぎですよ。逆に、靴飛んでいきません?」


洋一郎「しっかり結べば大丈夫なはずです」


我々の順番来た時、洋一郎さんは最後に靴ヒモのチェックをして、乗り込んだ。


私は靴を脱いで乗り込んだ。靴下を脱ぐのは流石に寒い。


ちなみに席は四人乗り。


前に流星、絵里さん、私。後ろに統さん、洋一郎さんの順で乗った。


そういえば初めて洋一郎さんと二人でじっくり話したな。

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Rinq (* ´ ▽ ` *)(プロフ) - 頑張ってくださいね( *´艸`)わたしも、小説書こうかなぁって、いま、考えてます。更新頑張ってね応援してます(* ´ ▽ ` *) (2017年5月30日 23時) (レス) id: a75720872a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西木野海未 | 作成日時:2017年5月17日 19時

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