START:DASH!!〜5〜

一致 ページ36

You side


彼にマフラーを巻いてくれた時、微かに頬を染めている自分がいた。


ちょっと恋人っぽいわね。徳井さんよりもデート(仮)気分が増す。


特に名前を呼び合っているわけでもないのに。


「ありがとうございます」と私は照れながらはにかんだ。


私が普段、遠目で見ているリア充の気分を味わっているようだ。


意外と幸せだな。リア充も悪くない。


ただ、ベタベタし過ぎるカップルは苦手だが。


恋人とはこれくらいの距離感がちょうど良いな。


......いや、待て。何故彼を恋人と見立てているんだ。彼など好きではないのに。


いや、でも好きじゃなければ普通、恋人に見立てる？


彼とはメンバーと同じくらい長い付き合いだ。


しかし私はメンバーを恋人に見立てたことは一度もないし、好きになったこともない。


アーティストとして惚れたことは何度かあるが。


真司郎や直也やにっしーが私が園田さんに気があるかのように、

からかっていたから、うるさいなと思って気づかなかっただけだが、

私は本当に彼が好きなのかもしれない。


「私は園田さんが好き」とうっかり本音を言ってしまったのも、多分、恋愛感情の表れかもしれない。


絶対に、何とも思ってない男に「好き」と言うわけがない。


あれ？恋ってそんなあっさりしているものだっけ。


いや、今までもあっさり付き合ってあっさり別れていたじゃないか。


今更、戸惑う必要などないじゃない。


多分、今回も今までの恋愛と同じようなものか。


そう思うとどこか悲しい気持ちになった。


今まで色んな男付き合ってきて、期間は最短で１ヶ月、最長で三年続いた。


二年とかじゃなくてもっと長く恋人として一緒にいたい。


真司郎達は私よりももっと先に気づいていたのか。勘が鋭いな。


恋心に気づいた自分が自分ではないみたいで怖い。まるで異世界にいるようだ。

このイルミネーションが異世界感をより一層増している。


このままずっと、待ち合わせ場所に着かなければいいのに。

でも時間は待ってくれないから、そんなこと魔法でも使わなければ不可能だろう。


園田さんももしかしたら、同じこと思っていてくれるかしら。

いや、今までの恋愛が両思いで上手く行っているからって、今回も両思いなわけない。

片思いか......相手の反応や人間関係をいちいち気にしなければならないから辛いだろうな。

いや、今、片思いなのか両思いなのかハッキリしないこの状況が辛い。

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