START:DASH!!〜2〜

懐かしい ページ33

今日は何倍も何十倍も仕事へ向かう足取りが軽い。



だって、今日私のラジオに友香里が出るのよ！



午前中の仕事はメンバーと一緒だったのだけど、



いつもよりテンションが高いね、と言われた。



メンバーには「今日のラジオ絶対、聞きなさいよ」



とだけ宣伝した。メンバーは不思議そうな顔を



しながら、頷くだけだった。



私はガチャン、と楽屋のドアを開けた。



梨子「あっ、Aちゃん。お疲れ様」



貴方「ああ、お疲れ様です」



楽屋では梨子さんがスマホをいじっていた。



梨子さんは必ず遅刻をしたことがない。



AAAのどっかの遅刻魔たちと違って、しっかりしてるわね。



貴方「ねえ、梨子さん。ゲストまだなの？」



梨子「そうみたい。今日Aちゃん、テンション高いわね」



梨子さんはフフッと微笑む。



貴方「そう？メンバーとスタッフ全員にも同じこと言われたわ。



何せ今日は友香里が出るんですもの！」



梨子「そっか、AちゃんはAAAのメンバーの中で



一番仲良かったの、友香里ちゃんだっけ？」



貴方「そう！彼女は唯一無二の親友なのよ」



梨子「余程仲良いのね、二人は。今も交流は続けてるの？」



貴方「ちょっとお互い忙しくて、連絡取れてないんですよね」



梨子「そうなんだ〜」



なんてね、嘘よ。連絡取れてないどころか、



未だに連絡先がわからなくて音信不通。



だから今日ね、きちんと謝って正式に仲直りするつもりよ。



放送時間の十分前になったが、友香里は全く来ない。



私のラジオ番組は特に台本はなく、



自然体でやるのだがその分、コミュニケーション力と



トーク力、空気を読む力、放送事故にならないために、



ピンチをチャンスに変える力などいろいろ試されるわ。



始めた頃は全くどれも出来なくて



ほとんど梨子さんに助けてもらってばっかりだったわ。



本当に梨子さんは私と二歳しか違わないのに、



何でも出来てしっかりしてて、フォローもしてくれて



本当に尊敬してるわ。



今は梨子さんの足元には及ばないけど、



ある程度はどれも、自分一人で出来るようになったと思う。



梨子さんからフォローしてもらうことも、少なくなったわね。



友香里は五分前になっても来ない。



本当に何してるのよ、彼女は。



うちのラジオ番組は五分前に収集がかかるの。



私と梨子さんは顔を見合わせながら、



不安げにスタジオに向かった。

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