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第伍拾玖話 ページ13

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『どこ、どこの階から……』




聞こえてきた場所は確かに下からだった。宇髄さん程じゃないけどこれでも聴力には自信がある方だ。


元々私がいた場所は三階。聞こえてきた音の大きさから推測するとすればおそらく一つ下、二階だ。手当たり次第に階段を駆け下りていく。




「この通りだ、頼む!!勘弁してやってくれ!!」




これは……楼主さん?


連れてこらた時に会った彼の声がけたたましく響いた。その声はたいそう必死のようだ。


本当に、いったい何が起きてるの?




「もうすぐ店の時間だ、客が来る……!!俺がきつく叱っておくからどうか今は……」




突き当たりを右に曲がって声のする方へ全力で走っていく。着物で開ける足の可動域を無視して無我夢中で走る。段々と人が群がっているところにたどり着いた。


見えてきたのは、繊維をむき出しにした障子の骨組みと、微かに垣間見える誰かの足。そして、その中心に堂々と立つ蕨姫花魁。彼女はこちらに気が付くと私をじっと見つめた。




________鬼だ。それも『上弦』。同じ屋根の下に居たはずなのに気付けなかったなんて。




その気配の消し方の上手さ、精密さに驚きを隠せない。それと同時に押し寄せてくる情けなさが、一瞬だけ頭を支配した。




「どたどた、どたどた耳障りだね。店の中で足音を出しちゃいけないってことを楼主から聞かなかったのかい」

『す、すみません』

「……まぁ、他のよりは綺麗だから許してやるよ。けど、次は無いと思いな」

『……はい』




そう言うと彼女はその場を去っていった。騒ぎの中心とも言える彼女が抜けたことによって、その場は一瞬にして沈黙に支配された。


いったい誰が飛ばされたのか、その安否を確認することも含めて確認した。




『……善逸っ、………善子、』

「人を呼べ!!早く片付けろ!!蕨姫花魁の気に障るようなことをするんじゃねぇ!!」




止まっていた時間が、楼主さんの一声で忙しなく動き始めた。その中で、善逸の横にただ立ちつくす私。




善逸の聴力なら、上弦の鬼の音はどう聞こえてたんだろう。彼によっての『音』がいわゆる私にとっての『気配』。


なら、たいそう身震いするようなものだったはず。


数年前に通った自分の経験が、彼に深く、深く同情していた。





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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎   
作品ジャンル:恋愛
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ハイキュー!! - (笑)同感です! (2021年6月16日 20時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - ハイキュー!!さん» はいそうです!!どうして1回しか押せないんでしょうね、100回は押したいのに……。 (2021年6月16日 17時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー!! - 楪日織さん» もう投票したあとだったんじゃないですか? (2021年6月16日 15時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 楪日織さん» こんにちは!そうやって言っていただけてとても嬉しいです…。今はテスト期間なので更新が泊まってしまっていますが、終わったら絶対怒涛のアップラッシュをしようと思います! (2021年5月29日 22時) (レス) id: f9d5897d9b (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 初コメです。気づけば高評価を押していて、「既に投票済みです」と出たんですがどうすればいいですか??(にっこり) (2021年5月29日 15時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年5月15日 15時

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