第肆拾捌話 ページ2
A side
「Aさん?私が何を言いたいかもちろん分かりますよね?」
『す、すみません……』
帰ってから、しのぶさんにはこっぴどく叱られた。
冗談無しで全身包帯でギチギチに巻いて固定しましょうか?
なんて言われた時は、かなり身の危険を感じた。
「はぁ……それで、話とはいったい何ですか?」
『ちゃんと聞いてくれてたんですね』
叱られる直前、しのぶさんに伝えたいことがあってぽろっと言ったのだ。
その後すぐにお説教が始まったからてっきり聞いてなかったのかと思っていたのだが。
『やっぱり、しのぶさんにはしっかり謝っておくべきだなと思ったので』
「謝る?今のところの私の頭の中に、Aさんに何かされた記憶はありませんよ?」
『随分と前のことなのできっと覚えていないだけです』
前、足の骨折が治って蝶屋敷を出ようとしていた時、しのぶさんは私の身を案じて怒ってくれたのに私なその言葉を遮った。
聞きたくなかったなんてくだらない理由のために。
『なので、ここで謝ります。あの時、あれ以上私の寿命が縮むのを止めようとしてくれていたのに、しのぶさんの話も聞かずに勝手に出ていってしまってすみませんでした』
________『あなたはまだ十三歳。身体もまだ成長の真っ最中です。これ以上の負荷をかければ________
________さらに寿命が縮んで、絶対に後悔します』
「ふふっ、そんな前のことを気にしていたんですね」
『なっ…どうして笑うんですか…』
「いえ、柱といえども、やはりあなたもちゃんとした子供なんですね」
「こ、子供扱い……」
そんな肩を落とさないでください、と暖かく微笑みながら言うしのぶさん。
優しいのは言わずもがな、ただたまに毒のある言葉を言うのは少し辛い。
「それで?」
『え?』
「これだけでは無いですよね?他になにか聞きたいことでもあるんじゃないですか?」
『……よく分かりましたね』
「あなたの顔にそう書いてあります」
あれ、そんな顔に出てたかな。
「随分表情が柔らかくなりましたね。これも時透くんのおかげでしょうかね」
『あ、ぁの……その、無一郎についてなんですけど……』
微笑ましいのか目を細めて笑っていたしのぶさんの視線が、私に向けられた。
『……………………“好き”って、なんですか?』
.
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ハイキュー!! - (笑)同感です! (2021年6月16日 20時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - ハイキュー!!さん» はいそうです!!どうして1回しか押せないんでしょうね、100回は押したいのに……。 (2021年6月16日 17時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
ハイキュー!! - 楪日織さん» もう投票したあとだったんじゃないですか? (2021年6月16日 15時) (レス) id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 楪日織さん» こんにちは!そうやって言っていただけてとても嬉しいです…。今はテスト期間なので更新が泊まってしまっていますが、終わったら絶対怒涛のアップラッシュをしようと思います! (2021年5月29日 22時) (レス) id: f9d5897d9b (このIDを非表示/違反報告)
楪日織(プロフ) - 初コメです。気づけば高評価を押していて、「既に投票済みです」と出たんですがどうすればいいですか??(にっこり) (2021年5月29日 15時) (レス) id: fd467e3021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2021年5月15日 15時