ヒーロー嫌いのヒーローガール２ (ページ6)

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第５６話：相澤ページ6

轟には、まだ素元が本調子ではない事を話した

エンデヴァーさんには、本調子ではない事、おそらくまだ狙われている事を

職場体験だという事はわかっている

彼女ひとりに、そこまで気を回す事ができないかもしれないとはわかっている

話はしたし、わかってはいたが・・・

縁《先生。指名した理由が轟の嫁に相応しいか見定めるためだとか言われたのですが・・・これ、どういう事でしょうか？》

相澤＞・・・・・は？

縁《やっぱりそういう反応になりますよね》

何がどうしてそうなった？あの人は何を考えてる？

相澤＞いや、まあ・・・気付かないわけでもないが・・・当人の問題だからな・・・一応、父親だから気にはするだろうが・・・。

縁《え？？》

相澤〈しまった、こいつは父親似で鈍感だった〉

風真さんも、恋愛だの愛情だのには鈍いとこがあった

そのせいか、明さんが何度か旦那がどうのと愚痴ってたなと、学生時代の記憶を思い出す

俺から見てても、轟は素元をただの友達という認識で、一緒にいるわけではなさそうだとわかる

轟本人は、まだ気付いてなさそうだが

中学からの仲なら、父親であるエンデヴァーさんが知らんとも思えんからな

っていうか、嫁・・・？高校生相手に・・・

しかも、恋人同士にもなってないようなガキだってのに・・・

預ける相手を間違えたか？

縁《相澤先生？》

相澤＞あー、いや・・・なんでもない。

電話越しに俺が頭を抱えてる事なんざ、素元は想像もしてないだろう

相澤＞まあ・・・ひとまずそれは無視でいいだろう。だいたい、お前らその気はないんだろ？

縁《無いですね。それに言いましたよね？ヒーローは嫌いだって。だから・・・ヒーローを目指している彼を、男の子として好きになる事なんて・・・あり得ませんよ》

相澤＞・・・・・そう、か。で、調子はいいのか？

縁《今のところは》

相澤＞そうか。何かあったらすぐに連絡しろ。独りで抱えるなよ。

縁《心配性ですね、先生も。まあ、努力はしてみます》

相澤＞・・・ああ。

通話が切れた

なぜだか胸の内にある、奇妙な感覚について、考える

穴が空いたような・・・しっくり来ない感覚だ

ヒーローは嫌いだ

だからそれを目指す轟に、恋愛感情の好意を持つ事はあり得ない

つまり・・・

相澤消太はイレイザーヘッドというプロヒーローだから、好きになる事はあり得ない

そう言われた気がするのは、なんでだ？

あいつはふたりの忘れ形見で、俺の生徒

それだけのはずだ