ヒーロー嫌いのヒーローガール２ (ページ12)

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第６２話ページ12

コウモリのような翼の生えた脳無が、建物の影から飛び出して来た

その出来事は、一瞬だった

縁＞－－。

鳥のような足が、縁の体を掴んだ

緑・飯＞素元さん！/くん！

轟＞素元！！

ドクン

頭が真っ白になる

何も考えられなくなる

脳無は、敵(ヴィラン)連合の、死柄木弔が連れていた－－

縁＞ッ－－！いやあぁぁぁーーー！！

女性ヒーローの頬についた脳無の血を、誰かが舐め取った

その瞬間、脳無は動きを止めた

ステイン＞偽者がはびこるこの社会も！悪戯に力を振りまく犯罪者も！

隠していたナイフで縄を切ったステインが、脳無を仕留めに行ったのだ

ステイン＞粛清対象だ！

縁＞・・・！

ステイン＞全ては、正しき社会のために！

ヒーロー達は戦闘態勢を取り、そこに脳無を追って来たエンデヴァーも駆けつける

ステイン＞エンデヴァー・・・！

ｴﾝﾃﾞｳﾞｧ-＞ヒーロー殺し！

ｸﾞﾗﾝﾄﾘﾉ＞待て！轟！

ステインは縁を抑えていた手を離すと立ち上がり、歩き出す

まだ恐怖心が残っている縁は、怯えた表情で彼を見上げる

縁＞ッ！！

顔を覆っていた布が外れ、現れたステインの素顔

そこには、狂気があった

ステイン＞偽者・・・！正さねば・・・誰かが・・・血に染まらねば・・・！ヒーローを、取り戻さねば！来い、来てみろ偽者共！俺を殺していいのは、本物のヒーロー！オールマイトだけだ！！

これを感じたのは、縁だけではなかった

ここにいる全員が、それを感じていた

立ったまま気を失ったステインは、この時、折れた肋骨が肺に刺さっていたらしい

そして、脳無以外の誰も、血を舐められてはいなかった

なのに、あの場であの一瞬

ヒーロー殺しだけが、確かに相手に立ち向かっていた－－

翌日、保須総合病院

轟＞寝られたか、緑谷？

緑谷＞ううん、あんまり・・・。

轟＞だろうな、俺もだ。

緑谷＞冷静に考えると、すごい事をしちゃったね。

轟＞そうだな。

緑谷＞あんな最後見せられたら、生きてるのが奇跡だって思っちゃうね。僕の足・・・これたぶん、殺そうと思えば殺せてたと思うんだ。

轟＞ああ。俺らはあからさまに生かされた。あんだけ殺意向けられて、なお立ち向かったお前はすげぇよ。

飯田＞いや、違うぞ。俺は・・・。

ガラッ

ｸﾞﾗﾝﾄﾘﾉ＞お。起きてるな、怪我人共。

緑谷＞グラントリノ！

飯田＞マニュアルさん。

轟＞素元。

縁＞ん。

ｸﾞﾗﾝﾄﾘﾉ＞小僧！お前にはすごいグチグチ言いたい！

緑谷＞あ・・・。