6話 私を見張っててくださいね。 ページ6
「…じゃあ俺がしくじらないように見張っていることだな」
【え?】
「君は俺を優しすぎると言うが、君はそんな俺を好きになったんだろう。今更残忍になってほしいのか?」
【…そうとまでは言わないけど】
「俺と君のやりとりを見て、二人に判断してもらえばいい。少なくとも俺は食生活にまで口を出す奴が俺達の敵だとは思えないし、まして敵だったなら初っ端から好意を公言したりだなんてしない」
お前だって、悪役をするには優しすぎるよ。
面食らったような顔をする彼女の反応が可笑しくて笑ってしまう。バーボンは呆れたようにため息をひとつ、ライは興味深そうに目を細めて彼女を眺めていた。
「…いいでしょう。貴方が僕達に接触することを認めます」
【え】
「ですが、僕が貴方を信用するかどうかはまた別です。せいぜい、」
【貴方ならそう言ってくれると思ってた!】
「え」
Aのその反応に、バーボンはきょとんと目を丸くした。疑われることを悲しむでなく、むしろその言葉を歓迎していた。
【私はもちろん貴方達の協力をするつもりで、迷惑になる気はないよ。ただ、私と貴方達の足並みが揃うかどうかはまた別だ。だから足並みが乱れている時に、そうと怒ってくれる人が必要なの】
「……それを、僕が?」
【そうだよ。貴方以上の適任者は他にない。私は貴方達の命を預かるの、失敗は最小限に抑えなければ…】
……ここまで事を重々しく捉えている相手が、今更敵であるとも思えないが。
ただ、バーボンの見る目が人より厳しいのは確かだ。そこを信用するというAの判断は正しいと言える。
「……僕には、貴方がよく分かりません」
【それで、いいんだよ。だってまだ初日だし】
信じるって言われたら私がびっくりする、と彼女は笑う。
【私には私の言うことが真実であるという証拠を提示することが出来ない。まあ普通じゃ有り得ないことを起こしたりは出来るけど、いくらでもこじつけることは出来るからなんともね】
「…君も随分な賭けに出たものだな。」
【まあね。信じてもらえるとも思ってなかったくらいだから、これでも私の想定の中では上手くいってるほう。貴方達の情に訴えかける他なかった】
貴方達が優しくて良かった、と言う彼女の表情は朗らかで、相手は全く以て得体の知れない何かかもしれないのに、それを可愛いと思ってしまう、なんて不覚をとった。
まったく、彼女は大人なんだか子供なんだか、よく分からない人だ。
7話 唐突に始まったハニー・ディナー→←5話 死なせたくないんだよ。反則技を使ってでも。
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紅夜桜(プロフ) - ウィスキートリオ俺も好きです!特にスコッチ見たいな人は尊敬しています。この小説の続きが気になって夜しか寝れない! 体調に気を付けて更新頑張ってください!待ってます! (2018年2月14日 22時) (レス) id: 76ed65e459 (このIDを非表示/違反報告)
かさかさスライム隊長 - いいっすね!こういうの!やっぱシリアスよりシリアル派ですん(^ω^)更新ふぁいとです!! (2018年2月6日 23時) (レス) id: 1f085f3530 (このIDを非表示/違反報告)
エレクトル(プロフ) - 琥珀さん» ありがとうございます!今はちょっと小難しくなってますがギャグもほのぼのも混ぜ込む予定なのでお楽しみいただければ嬉しいです! (2018年1月31日 9時) (レス) id: 63aaeb6f7a (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 続きが読みたくなる内容でした。次がとっても楽しみです!!! (2018年1月30日 22時) (レス) id: b7ed6803b2 (このIDを非表示/違反報告)
エレクトル(プロフ) - ハニートースト 通称,ハニトン!さん» 天才ではないですがウイスキートリオに対する愛はあります(`・ω・´)キリッ応援ありがとうございます、ぼちぼち更新しますので鼻血を止めてから見てくださいねw (2018年1月30日 21時) (レス) id: 63aaeb6f7a (このIDを非表示/違反報告)
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