11話 元々誤魔化すには無理があったのだ。 ページ11
『…ごめん、変な話をしたね。忘れてくれる?』
【…今の話がそう簡単に忘れられる話だと、本気で言っているのか?】
『ああ、んん。ううん。嘘。ごめんなさい。』
本音を言えばそうしてほしいところだけど、私が好きな貴方達はそんな人達だったね。
嬉しさと申し訳なさがぐちゃぐちゃに混じり合う。これで貴方達は私のことを覚えていてくれるだろうか、なんて、自分勝手な私でごめんなさい。
『…じゃあ、せめて二人には内緒にしていてね。彼らには不必要な情報だから。』
【…俺はそうとも思わんが…分かった。公言することはしないでおこう】
『ありがとう。出来ることなら、貴方達の重荷にはなりたくないの』
今でも、貴方が忘れてくれたらいいなって思ってる。
『私はただの貴方達のサポートAIで、誰かさんがその為に作ったプログラム。そのくらいの軽さでよかった』
【今更そう思うには、君は人間味が過ぎる】
『あはは。うん。ちょっと、失敗したなって思うよ』
つい貴方達への思い入れが強くて、干渉しすぎちゃった。
ただ、私の性格が性格だから、最初が大丈夫だったとしてもいずれボロが出てたろうなあ。もしもの何かがあったとき、私は黙っていられる気がしない。
『……ああ…でも、でもね。私今、幸せだよ。三人と話をして、こうして食卓を囲んで。それも顔合わせをしたその日に。機械の中の存在でよかった。』
【…俺は、君が人間だったならとまだ思うよ。そうしたら君と酒を酌み交わすことも出来たろうに】
『あは、人間だったらこんなすぐに迎え入れなかったくせに。…というか、人間の体だったらこうやって貴方達に近付くことも出来なかったよ。多分赤の他人だったろうなあ』
もし私が人間の体で送り込まれたとして、その上で今の私と目的が一緒だったとしても。
『未成熟な人間の私は、きっと貴方達の圧にも耐えられない』
【…なあ、A。君は最初からAIだったのか?】
『…いきなり核心を突く質問をするね。どうして?』
【君を人の手によって作られたものであると考えるには、心の動きが繊細過ぎる。違和感のひとつさえ存在しない。君は根っからの“人間”なんだ】
……まあ、気付かないはずもないか。私はロボットらしい無機質を装おうともしていなかったものなあ。特に彼らのような頭のキレる人達が相手であれば尚のこと。
じっとライさんが私を見つめる。私は暫し沈黙し、頬を綻ばせて笑った。
『そうだよ。私は、“元”人間だ。』
12話 別に、後悔なんてしていないんだよ。→←10話 生きて。幸せになって。
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紅夜桜(プロフ) - ウィスキートリオ俺も好きです!特にスコッチ見たいな人は尊敬しています。この小説の続きが気になって夜しか寝れない! 体調に気を付けて更新頑張ってください!待ってます! (2018年2月14日 22時) (レス) id: 76ed65e459 (このIDを非表示/違反報告)
かさかさスライム隊長 - いいっすね!こういうの!やっぱシリアスよりシリアル派ですん(^ω^)更新ふぁいとです!! (2018年2月6日 23時) (レス) id: 1f085f3530 (このIDを非表示/違反報告)
エレクトル(プロフ) - 琥珀さん» ありがとうございます!今はちょっと小難しくなってますがギャグもほのぼのも混ぜ込む予定なのでお楽しみいただければ嬉しいです! (2018年1月31日 9時) (レス) id: 63aaeb6f7a (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 続きが読みたくなる内容でした。次がとっても楽しみです!!! (2018年1月30日 22時) (レス) id: b7ed6803b2 (このIDを非表示/違反報告)
エレクトル(プロフ) - ハニートースト 通称,ハニトン!さん» 天才ではないですがウイスキートリオに対する愛はあります(`・ω・´)キリッ応援ありがとうございます、ぼちぼち更新しますので鼻血を止めてから見てくださいねw (2018年1月30日 21時) (レス) id: 63aaeb6f7a (このIDを非表示/違反報告)
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