1話 ページ1
「好きな人ができた…ごめん」
そう言われて、本当にこの人は3年間も付き合った彼なのかと疑ってしまう。声、指、私がプレゼントしたネクタイピン。嘘をつくときは鼻を触るクセがあるけど、いまは手を膝の上でぎゅっと結んだまま。かわりに焦っているときに出る、細かくつま先を動かすクセ。
…ということは。
「……そっか、うん」
「本当ごめんっ！ Aが悪いんじゃなくて、俺が…！」
「うん」
「その子、弱い子で…守ってあげなくちゃって…」
「うん、もういいよ」
3ヶ月前に受けたプロポーズはなんだったの？ 今月末にはうちの家に挨拶に来る予定じゃなかったの？
もらった指輪は？ 友達には？ …相手はどこの誰？
なんて、もう言ってもしょうがない。だってその新しいスマホケース、いまカップルに流行ってるお揃いっぽく見えないけどお揃いのケースだもんね。もちろんその片割れは私じゃない。
わかったよ、別れよう。私はそう言った。泣いて縋るなんてかっこ悪いことはぜったいにしたくなかった。
「…って感じで別れたの」
大「いやー、まじかぁ」
同期のは大我は眼鏡をくもらせながらラーメンをズルズルすすった。社食に豚骨ラーメンなんてあったっけ…なんて思いつつ、そんなことよりも私の話を聞いてほしくて気にしないフリ。
『元』彼氏とは部署は違うけど社内恋愛だった。だから周りの人には隠していたのだけど、大我にだけはなぜかバレてしまって。
大我は周りに言いふらすような人じゃない。むしろ自称『かなりのコミュ障』で私以外の人と話してるのをほとんど見たことがないくらいで…だから大我にだけはいろいろと話していた。プロポーズされたことも、少し将来への不安はあったけどそれを受けたことも。
彼と別れたことはその日の夜に大我に伝えた。家に行こうか？ って言ってくれたけど、家族と食事中だという大我にそんなワガママ言えずに、月曜にまた話聞いてねって約束をしていたのだ。
大「クソじゃん、クソ。そんなヤツにAはもったいないよ」
「うん…ありがと」
大「営業だっけ？ 元カレ。殴り込みに行く？」
「いやいや、それこそバレちゃうから」
私はフラれた立場…になるのかな？ 婚約破棄されて、しかも理由がほかに好きな人が…って。なんだか私 可哀想な人みたいじゃない？ って思ったら元カレの悪評を広める気にもならない。
Aってばお人好しだよ、と大我はため息をついた。
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なな(プロフ) - 更新待ってます！！ (3月15日 14時) (
レス) @page46 id: a7a739d86f (このIDを非表示/違反報告)
めらとにん(プロフ) - めちゃくちゃきゅんきゅんしてます、！！更新待っています！これからも応援してます🙌🏻💗 (2月20日 21時) (レス) id: 66bf5bffa1 (このIDを非表示/違反報告)
えみりーた(プロフ) - 更新待ってました！楽しみにしてます！ (1月9日 22時) (レス) @page43 id: d4d342cc13 (このIDを非表示/違反報告)
ともか(プロフ) - はじめまして。続きが気になっていたので更新嬉しいです。これからの2人の展開にドキドキしながら楽しみにしてます♪ (1月8日 21時) (レス) id: ba59c24797 (このIDを非表示/違反報告)
ymmrnn(プロフ) - とても文が綺麗で読みやすく、早く続きを読みたくなる作品です。2人にトキメキました。応援してます！ (10月31日 13時) (レス) id: a7dac5969c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エルダー | 作成日時：2023年10月2日 23時
