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そうこうしている間には、せつなともろはは襲われながらも覚醒し、
退治屋の里は更に発展していった。
その間も、父は母を捜していた。
そこまでして拘る父の姿は、
そこまで母が父にとって大切な人であるかを物語っていた。
でも、私は信じられなかったけど、
かつての父は、あの狙撃の殺し屋のように人間に対しては容赦がなかったんだ。
邪魔だという理由だけで多くの人達を殺戮したり、
人間は愚かで浅ましい生き物だと公言していたからね。
その理由は、祖父である犬の大将にある。
彼は大妖怪でありながらも、
あの宇宙人と同じく人間を愛し、
その人間の為に散っていったんだ。
それ故に、父は祖父を死に追いやった人間と言う種族を忌み嫌っていたんだ。
だから、半妖である叔父を忌み嫌い、
お前なんか弟じゃないと言い放った事も会った。
しかし、そんな荒れ狂いのやんちゃボウズであった父を改心させたのが母だった。
周囲の人達は、あの極度の人間嫌いの父が改心したのには驚いたそうだ。
更に、私達が驚いたのは父の目付きの変化だ。
昔の父は目線が鋭く、あの殺し屋のような印象だったんだ。
でも、今の父は威厳を感じさせながらも優しそうな目付きになっていたんだ。
その目付きは、祖父のそれと重なって見えた。
私達は、その目付きを他者への思いの表れだと思っている。
実際に、父は何度も私達の窮地を救ってくれたんだ。
私達がラストバタリオンの遠距離狙撃に晒される中、
父は颯爽と現れてそれを追い払い、
私を抱き締めると去っていった。
更には、多聞丸(大パパ)との戦いにも駆け付けてくれた。
でも、それが仇になった。
多聞丸は父を挑発して誘導し、
母の首飾りを突き出して誘い込んだんだ。
それは、既に記載したあの殺し屋のような卑劣な手段だった。
あれは標的の恋人を人質に取り、
それで誘い込んで仕留めてしまったんだ。
更には、口封じでその恋人も殺して穴に埋めてしまった。
流石に父は死にはしなかったけど、
呆気なく捕まってしまった。
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