【モブサイ】エクボといっしょ！ (ページ17)

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今日だけ仕返しページ17

エクボさんです。
…………………
空が暗くグラデーションする夕暮れ時。
今日はエクボさんが来るの遅いな、と窓の外を見上げながら、最近のエクボさんのことをただなんとなくもやもや思い返す。
最近のエクボさんときたら銭湯についてきたり、美味しくケーキを食べるときに容赦なく「太るぞ」なんか言ったり、それに、人の体借りてきて私に手出そうとしたり……。
つくづく思っていたけど、……そこが可愛いというか好きなんだけど、やっぱりあの悪霊、私をからかってばかりじゃないか！
いつも「Aの反応が可愛いからなぁ」とか言っているけど、私はそんなに彼の思うままになっているのだろうか。
……そう思うと、何だか自分もエクボさんに思うがままにしてみたいと思ってきた。
「そうだ、今日は仕返ししてやろう」

パタリ、とドアが開く音がして、「よお、A」といつもの声がする。
はいはい、いらっしゃいと言いながら迎えに行くと、彼はふよふよ家へ入っていった。
ここまではいつものこと。
でもね、エクボさん。今日はあなたにしたいこと、いっぱいあるの。
エクボさんがドアの向こう側まで来たとたん、私は彼を思いきり抱き締めた。
「おっ、おい、A！？」
いきなりのことなのでさすがに驚いたのか、ぎょっとした様子で私を見るエクボさん。
私はふふ、と笑いながら、そのまま彼をもっと強く抱き締める。
「驚いた？」
「そりゃ驚かない方がおかしいだろ。今日はどうしたんだA？」
あまりに抱き寄せすぎて私の胸でもごもご口を動かすエクボさんは、やっぱり可愛かった。
彼の頭をわしわし撫でながらそろそろ種明かしをする。
「エクボさんがからかってくるから、今日は私の仕返しなんですよ」
そう言うとエクボさんは小さくてつぶらな目を一瞬真ん丸にして、それからすぐいつもみたいにしわをよせた。
「……わかったわかった。なら今日はお前さんの好きにしろよ」
そんな風に言ってても満更でもないのに。
好きにしていいって、自分からやると案外素直なものだ。
「やった」
そのままソファーに寝転がって、エクボさんをまたぎゅうっと抱き寄せる。
エクボさんの頬は、やっぱりいつもより真っ赤になっていた。
今日はいっぱい、私の好きなようにさせてもらいますよ。