世界の花嫁になるまで.

押せ押せ. ページ16

〜大谷翔平 side〜


じゃ！と言って帰って行った２人をポカンとみつめるAちゃん。出て行く前に深澤さんが俺にグッと親指を立ててキメ顔をしていたけど、向井さんが回収して行った。


　『え？オフじゃん２人。』
大「気を利かせたんだよ。」


寧ろ気まずくない？大丈夫？とこちらを伺うAちゃんに笑いが出る。二人きりになったからって媚を売るわけでもなくて、気まずさの心配するところも可愛い。


大「俺は嬉しいよ。」
　『嬉しくないわけじゃないです。こういうこと、無かったから。』


ジャニーズに所属してから長いAちゃん。周りに格好いい男の人は沢山いてもデビューすることを夢見てがむしゃらだったと以前雑誌のインタビューで目にした。


大「試合見てどうだった？」


TVではSnowManの皆さんが歌って踊ってをしてるのに俺たち２人はソファに座って静かに話をしていた。


　『野球をあまり見てこなかった私でも夢中になれました。二刀流の大谷さんの姿が、自分じゃないのになんだか誇らしくて、日本を背負ってる背中をずっと見てました。』


格好よかったです、本当に。と目を見て伝えてくれるAちゃんが好きだ。


大「同い年だし、もっと楽に話してよ。大谷さんじゃなくて名前で呼んでほしい。」


ね？と膝の上にある彼女の手を柔く包み込んで目を合わせて伝えるとビクッと肩を震わせて顔を赤くなった。


大「本当はゆっくり距離を縮めたいけど俺アメリカに戻らないといけないし、Aちゃんも少し惹かれてると思ってるんだけど。」


違う？と追い討ちをかけると目を泳がせて距離を置こうとするので腕を引いて逆に距離を詰める。


大「好きだよ。推しとか友情の好きじゃなくて、一人の女性として好き。」


返事聞かせて、と続けるとゆっくり視線を上げてくれるAちゃん。


　『ありがとう。大谷さん』
大「翔平。」
　『…。翔平さんの気持ちは十分伝わってるよ。私も同じ気持ちだけど、やっとデビュー出来たSnowManを、ファンを置いていきたくない。』


ごめんなさい、と顔を歪める彼女の頬を包んで目線を合わせる。


大「なんで謝るの。俺SnowManで楽しそうにしてるAちゃんが大好きだよ。今は俺を好きでいてくれたらそれでいいよ。メンバーにも会社にもファンにも認めてもらって一緒に生きていきたい。」
　『ふはっプロポーズだよそれ。』


少し涙を溜めて笑う彼女は綺麗でおでこを合わせて二人で笑い合った。

帰りたくない.→←気を利かす.

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