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しるし ページ10

「ただいま〜」

『おかえり〜…っ、て、え?!A!?
どしたのその髪!!!』



昨日、ふと思い立って美容室に予約を入れた。
久々にばっさりいきたくなって
胸あたりまであった髪を顎下まで切ったのだ。



「切っちゃった!…どうかな??」

『どう、って……どう…かな、…いいんじゃない?
…かわいい。』


目を反らし、頬を赤くして、口元に手を当てたまま
ぼそっと呟くカンタくん。

確かに照れ屋な彼だけど、
髪型ひとつ褒めるのに
そこまで照れるものなのかな…


「ほんと?…ふふ、ありがと!」

とは言っても、
褒められた事は嬉しくて頬がゆるむ。
カンタくんがショートカット嫌いだったら
どうしようって、切られてる最中に
不安になったけれどそんな心配はいらなかったみたい。


浮かれ気分のまま、上着や鞄を片付けようと
カンタくんに背をむけて
部屋に向かおうとする。と。



『…ただ、』


さっきの照れた声とは違う、
はっきりとした強い声に思わず振り返る。



(え、怒らせ…た?)




ふと、そんな考えが頭をよぎったけれど、
カンタくんの顔を見た瞬間
その可能性はないと悟る。



『カンタくん、?』



考え込む時と同じように口元に置かれた手は
さっきと変わらない。
赤くなった頬も、変わらない。
なんならさらに赤くなっているくらい。


違うのは、目。


発熱している時のように
赤く、潤んだ瞳。
それでも、その涙目は
しっかりと私を捉え、見つめる。
視線の強さは睨んでいるのと大差ない。



これは…この表情は、
なんだろう ?



『A。』

「っ…はい。」

『俺は今、悩んでるよ』

「え…?」



悩んでる?この流れで?何に?



『…やっぱわかんないか』



カンタくんはそう言って、私に近づく。


「なに、ねぇ!、なに?!」


両肩を掴まれ、くるっと身体の向きを変えられる。

カンタくんの表情が見えなくなり、
さらに不安になった私の首筋に、ふにゃりと
くすぐったい感触。


「ひぁ、!」


思わず声をあげると、今度は
強く、ぴりぴりとした感触に変わる。




(ちょっと、そんなとこにつけたら…っ!)


『こんなに短くしたら
ここにつけられないじゃん』



わかっているはずなのに、
いっそう強く口付けるカンタくん。
その感覚は、腰まで届く。



『これから毎日、Aの首筋が近くにあるって…』




そう言って唇を離し、後ろから強く抱きしめた。




『我慢できそうにないんだけど?』

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(プロフ) - 秋ノ宮紅音さん» ご指摘いただき、ありがとうございます!!すぐに対応いたします! (2017年11月27日 16時) (レス) id: b757b26083 (このIDを非表示/違反報告)
秋ノ宮紅音(プロフ) - 実在する人物なので、オリジナルフラグを外した方がいいですよ!違反報告されます。 (2017年11月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - うわわ、すごく素敵なお話ですね!更新待ってます!! (2017年10月21日 23時) (レス) id: 77c9f3f671 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - すごくおもしろいですね!次のお話もたのしみにしてます! (2017年9月17日 20時) (レス) id: 59969ce0cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年9月1日 9時

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