【鬼滅の刃】海の愛は注がれる【時透無一郎】 (ページ10)

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7 カナヲside ページ10

カ｢炭治郎…大丈夫…？｣

私は皆と近況を報告し終わった後、炭治郎と共に家への道を歩いた。

炭｢ん？何がだ？｣

一瞬の動揺といつもと同じ様な作った明るい声。

私は知ってるんだよ。炭治郎。

貴方は

カ｢Aの事…好きなんでしょ。｣

炭｢…カナヲは…いつから気づいてたんだ？｣

隠し通してるつもりだったんだけどなぁ。と明るい声で話す彼。

カ｢…。このままでいいの…？｣

ずっと知ってたよ。

どれだけ貴方を見てたと思うの？

前世(むかし)から、貴方は…

気付いたのはAと霞柱様が恋仲になって、

貴方が藤の花の香袋を持つようになってから。

なんでだろうって。最初は思ったよ。でもさ、

Aを見つめる瞳とか、態度とかを見て

あぁ。匂いを誤魔化してるんだ。って。

Aは鼻が利くから。

それでもいいから、今はそれでもいいから、いつかは私を見てほしい。

そう思って前世では貴方と恋仲になった。

炭｢カナヲ…ごめん…本当にごめん…｣

カ｢……。｣

それはどういうごめんなの？

Aの事ずっと好きだったくせに私と恋仲になって、結婚した事？

それを隠してた事？

酷い人よね。今でも私は貴方が好きなのに。

Aは私の大好きな親友。

炭治郎は私の大切な人。

それは今も変わらない。

何が正解なのだろう…。

私には分からないよ。

沈黙がつづいた帰り道。

息苦しくて、悲しくて、辛くて、愛しくて…

雨が降りそうな黒い雲が空をおおっていた。

道にある家から風鈴の涼やかな音がチリンときこえた。

もうすぐ夏が来る。