秋元詩郎に弱みを握られる女の子の話

42話 ページ42

(何も言い返せないな……やばい、視界が悪くなってきた……)



我ながら惨めだなあと思う。


顔を見られないよう下を向く。



















『………ウッザ笑』
















…ひとつの言葉が吐き出された



お姉さん二人のどちらかが言った言葉じゃない､


もちろんAでもない。














その言葉は秋元が目の前にいる二人の女に言い放った言葉
















秋元はAの腕を引っ張り、その場から立ち去る。






「あ、秋元さん……!?」


振り返ると、お姉さん達は唖然としていた。



















しばらく歩いた所で秋元は立ち止まる





「あの…秋元さん？」




『あ、ごめん腕痛かった？』




「いえ……そうじゃなくて、その……ごめんなさい……」










『何それ、Aちゃんなんか悪い事したの？』





「………」


何も答えないAを見て秋元はため息をつく。














『にしても、あいつらウザかったねー』






「え……」





『だから、つい本音が出ちゃった』








「でも、綺麗なお姉さん達でした…」





『あんな事言われたのにAちゃんは優しいねー、俺どんだけ見た目良くても性格ブスは無理よ？』




「せ……性格……？」








『やっぱさー、Aちゃんみたいに見た目も中身もいい子がいいかなー』





「え……、あ、ありがとうございます？」





『あはは、なんで疑問形？褒めてんのに』




「あ、いえ…そんな事初めて言われたので……」






『まあ、Aちゃんみたいな子って言うかAちゃんがいいんだけどね、それにいずれは俺の彼女になると思うし』










「…やめてください……」

この人の事だからほんとに思ってるかどうかは分からないが、そんな事を言われては無表情ではいられない。








『顔真っ赤ー……そーゆーとこだわマジで』

















結局家まで送ってくれた。


マンション前で立ち止まり、Aは秋元の方を向く、












「秋元さん」



『んー』






「色々と……ありがとうございます」





秋元はなんとも言えない顔になるが、









『…ん…いいよ』







「秋元さんは、優しいんですね」












『マジ？優しいなんて初めて言われたなぁ』







「そうですか…」











『俺が優しいって思うんならそろそろ部屋入れてよ』








「ダメです、あとなんか怖いです。」


『えー』

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