【鬼滅の刃】純白少女と水柱 (ページ17)

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一章『梟の告げる夜』漆ページ17

｢え、何で知ってるの・・・？｣

話しかけてきた男は鬼殺隊を知っているようだった。
呉羽は｢動揺しっぱなしだ｣と自分の精神の未熟さを嘆いた。

｢俺さ、鬼殺隊に助けられたんだよ。鬼に襲われて。その刀身は鮮やかな青色でな。それは綺麗だった・・・｣

当時の事を思い出しているのかうっとりと語る男性。一応鬼が非公式な存在であるということを理解しているのか最初から潜めた声で話していた。
聞こえているのは呉羽だけ。周りはザワついているし、せいぜい聞こえていても男性の後ろに並んでいる人だけだろう。

｢鬼殺隊としか教えてくれなかったがな。こう、後ろで髪を一纏めにしている男だったんだ。羽織が左右で違ったもんですごく目立つ｣
｢あ、それって・・・｣

冨岡義勇の事だろうと呉羽は思う。
左右で柄が違う羽織を羽織っている者などそうはいないだろう。

｢おっ、知ってんのか？嬉しいねえ、恩人が有名人だと嬉しくないかい？｣
｢あ、そうですね・・・｣

男性は本当に嬉しそうに笑う。

根はいい人なのかもしれない。

｢あ、そういえば〝あの御方〟とはどういう方なのでしょう？入ったことおありなんですよね？世界の宝とか言ってましたし｣
｢・・・すまん、部下の受け売り。部下の奴がさ、一回ここに来たらしいんだけどよ、それから様子がおかしくなったんだ｣

そういえば、周りの人は顔色が悪そうな人ばかりだというのに目の前の男は元気そうだった。

｢土色の顔色で帰ってきたと思ったら『今日も行かないと』っていう始末。これはあかんと思って直々に調査に来たわけ。金が必要らしいし、鬼が関わってるなら部下に危ないことはさせらんねえし｣

(いい人だな。上に立つ者としてはどうかと思うケド)

男は｢これはあくまで個人的な興味だからな｣と言った。

｢鬼殺隊のヤツなら情報が多い方が良いよな。人のいねえとこで教えてやるよ｣