氷点下の私と君。2 【12歳。】

黒になれ　堤side ページ12

ｶﾞﾗｯ


教室に入る。


すると、かなり騒がしくて、聞き耳をたてるとほとんどが浜名の話題だ。


心愛ちゃん罰が当たったね。みたいな納得したたような女子の声。


浜名マジか…という失望したような男子の声。


ちなみに本人はまだ来てない。今日も逃げる気なのだろうか。


そう思ってると、教室の前の扉が空いた。


心「みんな、おっはよ〜！」


すると、一気に静まりかえり、数秒したところで中途半端に気を遣った女子から、“おはよう”と。


普段挨拶するはずの男子は勿論なにも言わない。


いつもと違うと素早く察したのか、浜名が、


心「も〜どうしたの〜？もしかして、心愛に会えたなくて寂しかった〜？」


……こいつは平和だな。なにも知らなくて。


でも、本当に誰も返事をしてくれず、不満だったのか、一人で頬を膨らませ、席に着いた。


……昨日、俺が何も言わなかったらきっとこうならなかっただろう。


俺は昨日、“ひとつ始まり”を作りだした。


それは誰が考えても悪いことであることは分かっている。


でも、相手が浜名だから酷いことはできないのはみんな分かっているし、しないだろう。


それに、いろんなやつが今までされたことを返してやりたい。


勿論、Aの件も。


こんなことはやめようと言う人が出るまでやめたくはない。


綺麗事は捨てるつもりだ。最低な人間でもいい。


むしろ、自分が最低な人間だと知ってる時点でまだ良い方だ。


今だけでも、黒になろう。

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