いつだって僕は 【紫】

_17 - tatsuya side - ページ18

　
　
　
　
どんなに忙しいって言ったって、翔太はAから連絡が来るのをずっと待っていたのを俺は知っていた。



「 ちゃんと話せって言ったろ。逃げんな。」


『 別に逃げてない。』


「 逃げてっから連絡しないんでしょ？」


『 それは……… 』


「 どんな話されたってそのあとにちゃんと聞いてやるから。」


『 辰哉…… 』


「 やけ酒も付き合うし、惚気話になっても聞いてやるし、怖がんなくて大丈夫だから。逃げんな。」


『 辰哉ってさ、昔からそうだよね。』


「 なにが？」


『 嬉しいことも悲しいことも全部1番に聞いてくれてさ、私って辰哉いないと生きてけないと思う。』


「 あのなぁ…何歳だよ。もう子どもじゃないんだからな？いつまでも俺がそばにいると思うなよ？」


『 だっているじゃん？』




そう言ってくしゃっと笑う彼女は、昔から何一つ変わっていなくて。



彼氏が出来たって喜んでた時も、振られて泣いてる時も、直人と喧嘩して怒ってる時も、全部全部見てきたんだなって思うと心が温かくなって。





「 A。」


『 ん？なに？』





頭を撫でればまた笑って。







『 辰哉に頭撫でられると安心する。』








「 ……っ、」






　
　





気付けば彼女を抱き締めていた。







『 辰哉……？どうしたの？』









　
　
「 さっきのやっぱ撤回。」


『 え？』








　
　
　
「 どんな時でも…ずっとそばにいてやる。だからお前はずっとそうやって笑ってろ。」









ふふっと笑って「ありがと。」って抱き締め返してくれる彼女はきっと、俺の体温が上がってることなんて気付いていないんだ。
　

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