椿 (ページ5)

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翌日は席替えから始まった。正直、大友もいないしどこでもいいや。適当に紙を引くと窓際の一番後ろ。うわ、神席！無欲で引くといい席来るんだな！寝放題！なんてうかれていた。席につき隣誰だろう、なんて思ってると金髪が近づいてきて、私の隣で止まった。

｢Aの隣やー♪」
｢………藤井君。｣

宜しくなぁ、と鞄をかけ席につく。イケメンが隣とか緊張するなぁ。でも藤井君ずっと寝てるからいっか。一人で考えていると、隣からの視線に気付いた。

｢……藤井君、なに？｣
｢別になんもないよ｣
｢じゃあ見ないで｣
｢なんで？あー、…見とれちゃうから？｣
｢はぁ？イケメンだからって調子にのらないで｣
｢ふふっ、やっぱおもろいなぁ、A｣

すると彼は満足したのか、寝る体制に入り出した。やっぱり寝るんかい！と心のなかで突っ込みつつ授業を聞き始めた。

×

四時間目終了のチャイムが鳴り、お昼休みになった。隣を見ると藤井君はぐっすり寝てる。仕方ない、起こすか。

｢…藤井君、お昼だよ、起きて｣
｢んーー、｣

顔をあげ目が合うとゆっくり笑って、やっぱりAやー、と訳のわからない事を言った。私はいつから君を起こす係になったんだ？と聞きたくなる。起きた藤井君は、私の手に持ってるお財布を見て、待って、と言った。

｢俺もいく｣
｢…はぁ、私と？｣
｢頼れるひとAしかおらんねん｣
｢わかったよ｣

そんなこと言われたら言い返せない。転校したときの寂しさは私もよく知ってるし。藤井君も心細いよね。それにしても、こんなイケメン転校生と二人行動はクラスがざわつく。注目の的だ。恥ずかしい。そんな私の気持ちなんて知らずに藤井君はありがとうな、なんて頭を撫でてくる。周りの視線がいたいからやめてくれ。

大友のクラスの前を通るとき、いるかなーなんて覗いて見たけど見当たらなかった。トイレかな？お話したかった。一目会いたかったなぁ。と、思ってると藤井君がニヤニヤしながら声をかけてきた。

｢誰探してるん？昨日のやつやろ｣
｢えっ？ま、まぁ、そうだけど｣
｢わかりやす。わかりやすすぎて可愛いなぁ｣
｢何が？｣
｢好きなんやろ？｣

えっ！？と藤井君の方を見て固まった。なんで藤井君がわかるの？そんなにわかやすい？もしかしてエスパー？ごちゃごちゃ考えていると、またニヤニヤしている藤井君。

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