椿 (ページ4)

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｢きみ、名前は？｣
｢…雨宮です｣
｢ちゃう、下｣
｢A、」
｢ん、Aね。」

暫く小声でA…A、と呟いて覚えた、と笑った。眩しい。イケメンの笑顔はこんなに眩しいのか。そんなことを考えてると、ガラーっと教室の後ろのドアが開いた。Aーと呼ぶ声がして振り替えると、少し驚いた用な表情の大友がいた。すると藤井君は私と大友を見比べた。

｢Aの彼氏？」
｢はっ？…違うよ！｣
｢ふーん、ま、ええわ。今日ありがとうな｣

また明日な、と言って教室を出ていった。なんなんだあの人。彼氏？とか言われて、赤くなってるであろう顔を手で冷まし、急いで鞄をもって立ち上がった。

｢大友ー！遅いよ、もう。｣
｢……あれ誰？｣
｢転校生の藤井君。うちのクラスだったの｣
｢そうなん。初日なのに仲良うなっちょるんじゃなぁ｣

大友は悲しいような困ったような笑い方をした。ねぇ、大友、そんな表情されたら期待しちゃうよ。

｢…やだ？｣
｢ん？何が？｣
｢男の子と仲良くするの｣
｢……やだって言う権利は俺には無いんじゃけど｣

何言ってるん？と顔を覗いてくる大友に小声でバカ、と聞こえないように小声で返事をする。私は大友がやだっていったら男の子なんかと離さないし、その権利は大友にあるんだよ。なんて言えるわけ無い。

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