椿 (ページ3)

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｢そういえば転校生、うちのクラスみたいじゃ｣
｢ふーん｣
｢…はぁ、もっと大友以外に興味もち。世界を広げるんじゃよ｣
｢そうだねぇ｣
｢クラス別れた機会に違う男の子とも交流もちんしゃい｣

正直、大友以外の男の子と喋りたいとも思わないけど。確かに交流関係広げないとな。クラスでまともに喋れるひと本当に少ないし。自分の友達の少なさに呆れていると担任と、転校生らしき人が教室に入ってきた。

｢転校生を紹介するーはい、自己紹介｣
｢藤井流星です。大阪から来ました。よろしくー｣

転校生が気だるそうに挨拶をすると、教室がざわついた。それもわかる。金髪に、あのスタイル、堀深く整いすぎている顔。コウも綺麗だけど、それに張るくらいなんじゃないかな。

｢じゃあ空いている席…そこだな｣

窓際の空いた席に座り、ぼーっと外を眺めてる。凄い、イケメンは何しても絵になるなあ。なんて感心していると、机に突っ伏して寝始めた。うわ、この転校生、自由だ。

×

始業式も終わり下校時間。ちょっと遅くなる、と大友から連絡があって教室で待っているけど、気になることが１つ。転校生が帰りのHRからずっと寝ている。転校初日で知り合いいないと思うし、起こした方がいいかな。じゃないとこのままずっと寝てそう。

｢あの……藤井さん、もう下校時間だよ｣
｢……んー｣

軽く揺すってみたけど、起きる気配がない。強敵だ。もう少し大声で言ってみることにした。

｢藤井さん！！起きて！｣
｢…るさい｣

ゆっくりと顔を上げ、目があった。吸い込まれるように綺麗で何故か目が反らせなくなった。すると、ニヤリと片方の口角をあげた。

｢…何、見とれてん？｣
｢っ！あー、ごめん｣
｢ふふっ、別に｣

｢そうだ！もう下校だよ｣
｢あー、、わざわざ起こしてくれたんやね｣

ありがとう、と言って帰りの準備をし始めた。私も席に戻り、そろそろ来るであろう大友を待っていた。藤井君は鞄をもって立ち上がったので、帰るのかと思ったが、何故か私の席の前に座ってきた。

｢…どしたの？｣
｢きみ、標準語なんやなーて｣
｢私、小学生の頃東京から越してきたから｣
｢へぇ、移らないんやね｣

そうだねぇ、と返事を濁した。私が未だに標準語の理由は、昔大友が標準語ってええよなぁ可愛い。って言ってたからずーっと続けてる。ただそれだけの理由。

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