椿 (ページ13)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:9,674 hit

13 ページ13

｢そいや、A門限とかないん？大丈夫？｣
｢あー、そろそろ帰ろうかな｣
｢ごめんな、付き合わせて｣
｢全然いいの！謝らないでよ、もう｣
｢んふふ、ありがとな｣

洗い物はやるから置いといてなー、と言われたのでお言葉に甘えた。支度をして玄関に向かった。

｢じゃあ、流星また明日ね｣
｢はぁ？なに言うてんねん送るに決まっとるやろ｣
｢え、いいよいいよ｣
｢よくない、ご飯のお礼｣
｢……わかった。お願いします｣

折れるきが無さそうだったので言われるまま流星に送ってもらうことにした。

×

｢そこ、左ー！｣
｢え、ここ？｣
｢違う！もいっこさき！｣
｢何やねんも～、ちゃんと言えやあほ｣
｢言ってるもん！｣

あー、家見えてきた！あの赤い屋根！と流星に声をかけると、了解～とこぐスピードを速めた。あー、もうちょっとで家ついちゃうな。少し寂しく思っていると、玄関先に見覚えのある黒髪が。私が気付くと同時に流星がこう言った。

｢なぁ、あれおおとも？ちゃう？｣
｢……そ、だよ。なんでいるんだろ｣
｢約束してへんの？｣
｢してない｣

ふーん、と言い大友がいる少し手前で自転車を止めた。こっちに気付いた大友は険しい顔で私たちを見てる。なんか気まずいなぁ、なんて思ってると流星が大友に聞こえるような声で言った。

｢…また飯作り来てな、A｣
｢えっ、あ、うん｣
｢ほんまありがと、また明日な～｣
｢うん、気を付けてね、｣

流星は来た方向を自転車で戻って行った。後ろからの視線が痛くて振り向けないでいると、二人の間に暫しの沈黙が流れた。き、気まずい。でも私連絡したし、何も悪いことしてないよね。と考えてると、大友が声をかけた。