椿 (ページ11)

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私が泣き止む頃には雨も上がって、流星が乾燥機にかけてくれた制服も乾いた。流星は泣き止むまでずっと頭を撫でてくれた。

｢ほんまよう泣くなぁ、赤ちゃんみたいや｣
｢……ばぶー｣
｢んははっ、おっきい赤ちゃんやなぁ｣

そういってまた綺麗な笑顔で笑う。流星は強いなぁ。私ばっかり泣いて、本当に泣きたいのは流星の方なのに。少しでもいいから流星の力になりたい、流星の笑顔を守りたいと心から思った。

｢流星、私に出来ることあったらすぐ言ってね。どこでも駆けつける｣
｢なんや、頼もしい赤ちゃんやな｣
｢学校でも家でも、いつでもだよ！して欲しいことない？」
｢Aおってくれるだけでええよ｣
｢そんなんじゃなくて、もっと、欲深く！｣

｢うーん、……じゃあ夜ご飯、作って欲しい、｣

んで、一緒に食べよ、と言いながら段々俯いていった流星。珍しく照れてる。母性本能擽られるわー、この子。かわいい。

｢そんなことお安いご用よ！｣
｢……ありがと、｣

目の前にある金髪をよしよししたい衝動にかられ、本能のまま撫で回した。一瞬心底驚いた様に顔をあげたけど、もう最後はされるがままになっていた。さっきとは形勢逆転だ。

｢さて、なに作ろっか？｣
｢…オムライス！｣
｢おっけー！材料は？｣
｢卵はあるけど、他はないからスーパーいこ｣

乾いた制服に着替えて、近くのスーパーへ二人乗りして行った。必要な物をかごに入れていくと、チーズ入れて！と子供みたいにお願いしてくるのが可愛くて堪らなかった。時々本当に子供っぽくなるよなぁ。甘えてこれなかったのかな、と思うと、私が頑張らなきゃと謎の責任感を負うようになった。

必要なものを買い家へ着き、流星と一緒にオムライスを作った。仕上げにケチャップでAと書いてくれたので、お返しに私も流星☆と書いた。
食べ始めようとすると、待ってー、と流星に止められた。どしたの？と聞くとスマホを取り出してお皿を二つ並べて写真を撮って満足そうにして、もう食べてええで、と言った。

｢｢いただきまーす｣｣

一口食べ、やばいめっちゃ美味しい、と目をキラキラさせるもんだから。もう本当に嬉しくなった。

｢なぁA？｣
｢んー？｣
｢ほんまにありがとうな｣
｢なによ急に｣

改めてお礼を言われて恥ずかしくなってると、流星が話を続けた。

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