椿 (ページ18)

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流星の家につき、リビングに二人座っていた。暫しの沈黙を破ったのは流星だった。

｢…家まで連れてきてなんやけど、今日飯作んなくてええよ。そんな気分じゃないやろ｣
｢……何で？平気だよ｣
｢平気な人はそんな辛そうな顔しません｣
｢してない｣
｢してるやん｣

すると流星が隣に座ってきて、ほらな？と顔を覗いた。その顔が優しさに溢れてて、瞳に涙が滲んできた。潤んだ瞳を見て困ったように眉毛を下げた流星は、また泣くぅ、と茶化したように言った。

｢俺ん家来ると毎回泣くやん｣
｢………ごめっ、｣
｢謝らんで。ええから、スッキリするまで泣き｣
｢…っ、ありがと｣

流星は子供をあやすように背中を撫でてくれた。その手が温かくて安心した。ようやく落ち着いた頃に流星が言った。

｢…なぁ、色々聞いてもええかな｣
｢…うん｣
｢まず大友とあの女の子って何なん？付き合ってるん？｣
｢わかんない、けど、多分そう。｣
｢…そっか｣

大友から直接は聞いてない。けど夏芽ちゃんはコウと別れたし、大友は夏芽ちゃんが好きだし。一緒に、帰ってるみたいだし……。そういうことだよね。私の特別だと思っていた自転車の後ろも夏芽ちゃんの場所になった。ついに、私のいる隙は無くなった。