歯医者さんと勝己くん【爆豪勝己】 (ページ9)

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8. 女の子ページ9

頼まれて買ったお酒とおつまみとおにぎり達を持って瑠衣の家のインターホンを押し、やっほーと覗きこむ。

返事はなく、しばらくすると鍵が開く音がしたがドアは開かなかったのでどうやら歓迎する気はないようだと察する。

『怒ってんなあ…』

と苦笑しながら自分でドアを開けると、廊下の向こう側ではソファに腰掛けてテレビの前で固まっている人影が見えた。
とりあえず靴を揃えて脱ぐと私はキッチンにそのまま直行する。

『お酒冷蔵庫入れとくよー？』

大量に買ってきた缶ビールやチューハイ、冷やしておくべきと判断したおつまみを次々に冷蔵庫に入れていく。

ここの冷蔵庫はうちのとは違って色々な食材が入っていて瑠衣が普段から自炊している事が分かる。そういえば最近瑠衣の料理食べてないな…なんて考えながらすでに冷やしてあった缶ビールを2缶取り出し、おにぎりとお菓子が入ったビニール袋を持ってリビングへと向かう。そこにはテレビとにらめっこしてソファに腰掛ける瑠衣の姿があった。

『やっほ〜元気してた〜？…あれ今日女の子だ！』

と声をかけると同時に丁度テレビはCMに切り替わり、瑠衣は苦い顔をして私を見た。

「言ったでしょ、もう当分男になる気はないって。彼女に振られたの。」

『そういや、そうだったね。あれから何も連絡ないの？』

「無い。でも別に未練ないからいいの。それより今度合コン行こ。イケメン探す。」

『切り替えはや。』

「終わったもんは仕方ないし、長いこと引きずってられないわ。」

かっけえ…
まぁ、確かに付き合ってそんな経ってなかったしな…

それに瑠衣の言う通りで、私達も1つの恋の終わりをそんなに引きずっていられるほど若くはないという事なのだろう。まだまだだと思っていても老いはすぐに来てしまう。

『そっか〜。それにしても久しぶりに女の子の瑠衣見るから新鮮！ねぇこのウィッグ新しいでしょ？初めてみるもん。可愛い！』

「あ、可愛いでしょこれ。昨日届いたばっかなの。」

『めっちゃ可愛い！明るいのも似合うね。』

ミルクティーのような色に緩くウェーブがかかったそのウィッグは瑠衣の色白な肌と相まってお人形のようで本当に似合っていた。