歯医者さんと勝己くん【爆豪勝己】 (ページ6)

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5. は？！ページ6

《デクぁ…俺の前を行くんじゃねぇ！！！》

それを目の当たりにした瞬間、鼓動が一気に速まったのがわかった。

あまりの感動に言葉が出ない。

今見たアレは本当にこの世の物なのだろうか。

あれほど美しい物を持った人間が存在するというのだろうか。

画面に映ったあの一瞬は私の脳内で、濃く鮮明にいつまでも残り続けている。

私は夢見心地のまま椅子からゆっくりと立ち上がった。
そして携帯を手に取って、フワフワとした気持ちのまま電話をかける。

この興奮は自分の中に留めておくだけではどうにもならなかった。

しかし、どんなに待っても出ないので、スタンプを連打する。

と、向こうからかかってきた。私は電話に出るなり、この高揚した気持ちを吐き出した。

「ねぇ今いいところ…『瑠衣！！！ねぇ！観てるでしょ？！見てるよね！？体育祭観てるよね？もうヤバいんだけど！？爆豪くんヤバいんだけど？！』

「うるっさい！！！！！！」

叫ぶなと怒鳴る瑠衣の方がよほどうるさいと思うのだが。

まだベラベラと文句を言い続けるので電話を耳から離しているとそれがバレたのか、ちょっと聞いてる？！と釘を刺された。

『聞いてる！ごめんって…！』

私がそう言うと瑠衣は盛大に溜息をついた。

「観てるのわかってんなら電話してこないでよね。大体、体育祭毎年見てないのAくらいだから……あ！待って、3人並んだ！！！」

『うそっ！』

着地寸前の緑谷くんに追いついた2人。

もう誰が1位でもおかしくない、それくらいに競っている。でも緑谷くんの体勢ではそのまま着地に失敗してしまうだろう。

と思った瞬間、緑谷くんは追いついた2人を踏み台にして、体勢を立て直し、持っている板を地面に叩きつけた。

す、すご…。

そのまま地雷ゾーンを抜けると、ゴールに向かって走っていく。

《緑谷間髪入れず後続妨害！！なんと地雷原即クリアぁ！！！》

え、え、爆豪くんは？！

すると、爆発の煙の中からほぼ同時に爆豪くんともう1人が出てくる。

『あ！ねぇ！瑠衣？！爆豪くん見て！！』

「見てるって！！」

『爆豪くんの歯！！！』

「は？！」