歯医者さんと勝己くん【爆豪勝己】 (ページ20)

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19. 受話器ページ20

そして事件はお昼休憩の時に起こる。

うちのクリニックでは12時半から13時半までがお昼休憩なのである。みんなでわいわいご飯を食べながらお話をするのは私の１つの楽しみでもある。

その時、たまたま私は席を立っていた。飲み切ったペットボトルをゴミ箱に捨てようとしていたのだ。

『…あ！ずるい！私もそれ…！』

私もそれ見たい！と言いかけた時に、フロントの電話が鳴り始めたのだった。どうやら他のみんなは先輩のお子さんの動画に夢中で気がついていないようだった。

「僕行きましょうか。」

台所でお茶を淹れていた院長がそう言うので、私は焦って、

『あ、院長！私行きます！1番近いんで！』

と言って、私は部屋から飛び出た。

予約かな？何か緊急とかじゃ無いといいけど…。
私はそう思いながら駆け足でフロントへ向かい、受話器をとった。

『お電話ありがとうございます。こちら仲歯科クリニックでございます。本日はどのようなご用件ですか？』

［こんにちは。初診で予約を取りたいんですけど。］

『かしこまりました。現在どのような事でお困りですか？』

［クリーニングしてもらいたいのとホワイトニングの事も少し聞きたくて。］

『クリーニングとホワイトニングですね。ありがとうございます。ご希望の日程はございますか？』

［今日ってもう予約いっぱいです？］

『本日…ですと、14時と16時半の空きがございます。』

［じゃあ、14時からでお願いしようかしら。］

『かしこまりました。1つご了承いただきたい事がございまして、ホワイトニングに関してなのですが、当日予約が当院、出来かねまして…。カウンセリングのみになってしまうのですが…』

［あぁ！全然大丈夫です！元々そのつもりだったので。］

『あ本当ですか？かしこまりました。では本日はカウンセリングのみ、という事ですね。では受診者様のご連絡先とお名前を漢字でお願いします。』

きちんとメモできるようにペンを持ち直す。

［ばくごうみつき。爆発の爆に豪快の豪に光るおの──

私は衝撃のあまり受話器を落としてしまった。

え、え、今何と？

え？

ばくごう？

え、ばくごう？？

爆発の爆に豪快の豪？

爆豪……？

　

この時の私はとにかくパニックだった。